
日々の繰り返しに疲れていませんか?
全ての雑音から逃れて、静かな場所でリラックスして過ごしたいと思っていませんか?
もしそう思うなら、あなたには「リトリート(メンタルヘルス休暇)」が必要かもしれません。
リトリートとは、普段の生活や仕事から離れた非日常的な場所で自分と向き合い、心と体をリラックスさせるという意味合いで使われています。
では、リトリートは心と体にどういった効果をもたらすのでしょう?
目次
メンタルヘルスに有効な「リトリート」とは?

多忙な日々が続くと「この状況から抜け出したい」という思いが頭をよぎることがあります。実は、この「抜け出したい」という気持ちは、科学的にみても理に叶っているのです。
リトリートにはセラピーや食事療法、癒しのある自然空間などを考慮した様々なプログラムがあります。近年では、「ウェルネスツーリズム」などを通して観光業界でもリトリートのコンセプトが取り入れられ、癒し休暇を提供しようとするビジネスも増えています。
リトリートの定義は幅広く、特に決まった休暇期間があるわけではありません。あくまで自分自身を見つめ直すことを重要視します。
たとえば、都会で暮らす人が手軽にリトリートをしたいと思うのなら、マッサージや銭湯に行くのもいいでしょう。また、時間に余裕があれば自然と触れ合えるような場所に行き、より癒しを求める旅行に出かけるのもいいかもしれません。リトリートを取り入れた施設では、ヨガや瞑想といった癒し効果を深めるようなサービスもあります。
さらに、ウェルネスツーリズムに関しては、旅行に行くだけでもストレス発散や癒し効果があることがわかっています。
リトリートによる健康効果は長続きする?

2017年に行われた研究では、アロマセラピーを含むリトリートを一週間体験した人たちに対して、健康測定やメンタルヘルスにおける様々なテストを実施しています。
その結果、被験者たちはメンタルの改善が見られたほか、その後6週間もポジティブな効果が続いたことがわかっています。主な効果としては以下です。
- 身体的効果・・・体重の減少、お腹まわりのスリム化、血圧の正常化、睡眠の質改善
- 精神的効果・・・うつ、不安、ストレス、感情の起伏
これらの効果により、心身ともに大きな改善が見られています。このことから、リトリートにはその場限りのリフレッシュ効果だけでなく、日常に戻った後もしばらくは効果が持続すると言えるでしょう。
リトリートの癒し効果を深める3つの要素

リトリートの計画を立てる際に、考慮すべき点が3つあります。
金銭面や時間などの都合上、今すぐにリトリートを実践するのが難しい場合もあるかもしれませんが、以下の3つの要素を取り入れることで「プチリトリート」を体験することができるでしょう。
要素1.自然と繋がろう

一つは自然と触れ合うことです。
メンタルヘルスにおいては、自然に触れることで「癒し」や「充電」の効果があると言われています。
- 自然に触れるのはもちろん、自然の写真を見るだけでも怒り、恐怖、ストレスが和らぐ
- 40分の森林浴で気持が向上し、元気が沸く
- 免疫機能と発想力が向上し、血圧、脈拍、筋肉の凝りなどが軽減される
このように、自然に触れるだけで様々な健康効果があることがわかっています。素足で草の生えた地面を感じたり、海辺で海水に足をつけてみるのも良いでしょう。短い時間でも、自然と直に触れ合えれば、きっと心も体も癒されるはずです。
また、職場のデスクや書斎に植物を置くだけでもリラックス効果が得られることが分かっています。外に出かけるのが難しい場合は、部屋の一角に植物を置いて小さな「リトリートスペース」を作ってみてはいかがでしょうか?
要素2.健康的な食事を摂ろう

二つめは食事です。
私たちの健康は食事によって左右されていると言っても過言ではありません。そして、食事は体だけでなくメンタルにも影響を及ぼします。
野菜や全粒の穀物、不飽和脂肪などを取り入れた食事は、体重の増量と慢性疾患が抑えられるということが長年の研究により明らかになっています。
リトリートを行なっている場所によっては、食事療法やダイエット法を取り入れたプログラムを提供しており、中にはファスティング(断食)で疲れた胃腸を休め、体調を整えるといった取り組みもなされています。これらを体験することで乱れた食生活を正し、食事による健康維持を目指せるのもメリットの一つです。
もしリトリートが困難なら、数日間の食事療法やダイエットを生活に取り入れてみるのもいいかもしれません。食事とメンタルヘルスの関係については、こちらにも詳しく掲載されています。
要素3.ハイドロセラピー(水治療法)を体験しよう

風呂や温泉文化のある日本では、お湯に浸かることは健康に良いことだと知られています。
実は、お湯でなくても冷たい水に浸かるだけ健康効果を得ることができます。これは「ハイドロセラピー(水治療法)」と呼ばれ、医学的にも様々な効果が実証されている治療法なのです。(※ウォーターセラピー、アクアセラピー、プールセラピーとも呼ばれています)
ハイドロセラピーは、近年愛犬家たちの間で犬の健康維持のために活用されていますが、人間においてもタラソセラピー(海水や泥などの海の恵みを使った健康治療法)の代表的なトリートメントとして広く浸透しています。
かつては冷たい水を身体に浴びて調子を整えるのが一般的でしたが、最近では水中でのエクササイズによって代謝が促進され、脂肪燃焼をうながすということでダイエット目的で活用する人も増えています。また、循環系機能を向上させて身体に活力を与えることも期待でき、他にも以下のような症状にも効果があると言われています。
- 慢性閉塞性肺疾患
- 喘息
- 肛門直腸疾患
- 感情の起伏
- 倦怠感
- 不安
- 肥満
- 高コレステロール血症
- 熱中症
- 出産の痛み
このように、様々な健康効果が期待されているハイドロセラピーですが、誰もが簡単に体験することができます。
近所の温泉施設や銭湯に出向いたり、家でゆっくりとバスタイムの時間を設けてもいいでしょう。リトリートによっては、ハイドロセラピーを行なっているリラクゼーション施設もあるので、もし興味があれば一度体験してみてはいかがでしょうか。
オフタイム休暇にリトリートを有効活用しよう!

ストレス社会と言われている今、私たちは生きていくうえでストレスを感じる場面が多くあります。
ストレスを感じたとき、我慢して溜め込まずに休息をとることが大切です。リトリートを通して、ちょっとしたオフの時間を取ってみましょう。気分が変われば、それだけでストレスは軽減されるものです。
リトリートによってメンタルヘルスをケアすることは、人生を謳歌するためのカギとなるかもしれません。楽しく健康に生きるためにも、オフタイム休暇をとってみてはいかがでしょうか。
Source:
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