• 「他の人よりも細かいことに気づきやすく、疲れてしまう」
  • 「環境の変化があると、必要以上に緊張してしまう」
  • 「人からよく感受性が豊かだと言われる」

このように、他の人よりも感覚が鋭いことでストレスを感じやすい性質は、HSP(Highly Sensitive Person)と呼ばれています。

HSPは一種の性格とも考えられており、治すということは難しく、上手く付き合っていかないと躁うつ病を始めとした精神病に発展してしまうおそれがあるのです。

HSPの心理的特徴

暗闇でうつむいている男性
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突然ですが、あなたはこの中でいくつ当てはまりますか?

  • ・些細なことでも深く考えすぎてしまう
  • ・映画やドラマなどの作品を見てすぐに感情移入してしまう
  • ・大きな音に他の人よりも驚きやすい
  • ・大勢の人に囲まれると距離を置きたいと感じる
  • ・一度に多くのタスクを抱えると焦って仕方がない
  • ・他人が怒られている姿を見ると動悸がする
  • ・最近気分が晴れたためしがない

これらの項目において、多ければ多いほどHSPである可能性が高いと言えます。

人よりも考える時間が長かったり感受性が豊かだったりするのはHSPの人の大きな特徴なのです。

HSPの症状

HSPの場合、人よりも感度が高い状態なので精神的な苦痛を受けることが多くなります。症状を細分化すれば多岐に渡りますが、ここではHSPの中でも特に多い症状を3つご紹介します。

症状1.傷つきやすい

窓際に座って外を眺めている女性
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例えば仕事やスポーツで何かミスをしてしまった時、「次は取り戻そう」と前向きな感情で切り替えられる人もいれば、自分の悪かった点を引きずってしまう人もいるでしょう。HSPの方は後者の感情になりやすいため、心が傷つきやすいという症状が見られます。

また、思考が敏感なため、他人を傷つけるような行為・思考をせず、問題は常に自分にあるといった自己否定的な考え方をしてしまいがちです。自分に自信がないことで卑屈になり、周囲とのコミュニケーションがうまく取れないことでさらにメンタルのバランスを崩してしまうこともあります。

症状2.疲れやすい

額に手を当てて黄昏ている女性
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先述通り、HSPの人は繊細ゆえに物事に対して敏感なので、人の発言の背景や意図を読み取ったり、少ない情報から多くを想像するという特徴があります。常にアンテナが張られている状態のため、頭や心が疲れやすくなってしまいます。

加えて、周囲に敏感になるあまり他人の感情にも影響を受けやすく、ネガティブな人といると自分までネガティブになってしまうこともあるでしょう。

症状3.共感しやすい

握手する手
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何事にも共感しやすいというのもHSPの特徴の1つです。

友人や家族との会話に共感し、自分の意見を迎合させることも少なくありません。また、映画や漫画といった創作物に強く感情移入をすることもあります。

HSPを克服するための5つの方法

まず理解する必要があるのは、HSPは病気ではないということです。

あくまでも「人よりも感受性が豊かである」という個性なので、自分がHSPだからといって他人よりも劣っているということはありません。

その点を理解したうえで、HSPを克服するための対処法を5つご紹介します。いずれも大事なのは、リラックスできる環境を意識的に作ることです。

克服法1.読書をする

芝生で本を読んでいる
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読書をすることで本の世界に没頭でき、自身の感じているストレスから一時的にでも距離を置くことができます。事実、読書には感情の起伏を抑制する効果があることが、ある大学の研究で明らかになっています。

また、創作小説だけでなく、マインドケアに関するビジネス本を読むことで、HSPによるストレスを改善するための新たなヒントを得られる可能性もあります。

忙しくて読書をする時間が取りづらいという人もいるでしょう。そういう人は移動中や就寝前の30分など、意識的に時間を取ることが大切です。

克服法2.音楽を聞く

スマホ画面越しにあるイヤホン
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読書と同じく、音楽を聞くこともリラックス効果をもたらすとされています。

HSPの症状から生じるストレスを軽減するためには、どれだけ自身の精神を落ち着かせるかが重要になりますが、それにはマインドフルネス瞑想が有効だと考えられています。

マインドフルネス瞑想とは、目を閉じてリラックスした状態で、自分の呼吸に意識を向けて瞑想をするストレス解消方法の一つです。これは音楽を聴きながら行うことで更に効果が上がることが分かっています。

音楽のジャンルは自分がリラックスできると感じるものであれば何でも構いませんが、特に今まで音楽を聴く習慣がなかった人は、音楽再生アプリで「ヒーリング音楽」「ジャズ」「自然音」などを検索すると、心が落ち着く音楽に出会えるでしょう。

克服法3.睡眠を十分にとる

ベッドと枕
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あなたは毎日何時間睡眠をとっていますか?
総務省の社会生活基本調査によると、10歳以上の1日の平均睡眠時間は7時間40分というデータがあります。社会人の場合は、上記の時間に加えて仕事や家事育児に携わるための時間が必要になりますので、1日の睡眠時間が7時間を切っている人も珍しくはないでしょう。

ある大学の研究では、7時間未満の睡眠を2週間継続すると、1〜2日間徹夜をした時と同じ状態まで脳機能が落ちてしまうことが分かっています。つまり、睡眠時間が不足するということは、身体だけでなく脳、ひいては精神面にも強い悪影響を及ぼしているとも考えられるでしょう。

睡眠時間を増やしたくても物理的に増やせないという人におすすめしたいのが、休日も毎日同じ時間に起きるという方法です。平日睡眠できない分、休日にたくさん寝溜めをするといった生活をしていると、体内時計が狂ってしまい、平日の起床・睡眠サイクルが乱れるという悪循環が生じます。

休日寝溜めをしている人は、まずは7時間睡眠をするといった点を意識することで、HSPの症状による精神的ストレスを緩和できるでしょう。

克服法4.ポジティブ思考を身につける

山脈に親指を立てている右手
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物事を考えすぎてしまうあまり、どんなことでも「自分が悪い」「自分が非難を浴びせられるのではないか」と感じてしまうようなネガティブ思考に陥るケースがあります。

ネガティブ思考を解消するためには、ポジティブ思考を身につけることが有効です。ポジティブ思考を身につける方法の一つに、「スリー・グッド・シングス」というものがあります。寝る前にその日にあったポジティブな出来事を3つ日記に書くだけなので、誰でも簡単に実践できます。よかったら試してみてください。

克服法5.カウンセリングを受ける

座って話している2人の手元
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どうしても自分一人だけではHSPの症状に向き合えないと感じた場合は、カウンセリングを受けるのも一つの手です。HSPの方を専門にカウンセリングを行うクリニックもあります。専門家に話すことで、気分が落ち着くだけでなく、自分に合ったHSPによるストレス解消法や考え方を知ることができるでしょう。

また、忙しくて中々カウンセリングに行けないという人には、スマホアプリによるカウンセリングがおすすめです。SELF MINDでは、AIが一人一人の悩みに応じたアドバイスをし、いつどこでもカウンセリングを受けられます。カウンセリング機能利用後のアンケートでは、94.2%以上の人が効果を実感していますので、あなたの悩みにも解決のヒントが訪れるでしょう。
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自分のスピードでゆっくりHSPと向き合おう

笑顔で話している男女
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HSPの人は精神的なストレスを感じやすいため、自分らしいリラックス方法を見つけることが大切です。

また、HSPはネガティブに捉えられがちですが、相手のことを親身になって助けたり、物事の裏の裏まで思考できるといった長所もあります。そのため、HSPであることを個性として受け入れ、共存していくことが大切です。

ゆっくりで構いません。
自分のスピードで、自分自身と向き合ってみませんか?

Source:

平野真理
心理的敏感さに対するレジリエンスの緩衝効果の検討ーもともとの「弱さ」を後天的に補えるかー

薬袋秀樹
朝の読書の効果に関する議論についてー朝の読書関係単行書における説明の分析ー

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著者情報

SELF

北里大学医療衛生学部出身の医療系ライターを筆頭に、精神衛生やメンタルケアに特化した記事を得意とする。学術論文に基づいた記事を多く手掛けている。

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