どんな人でも、毎日のストレスや感情に振り回されることはあるでしょう。

そんなとき、マインドフルネスの練習をすることによって心の大きな負荷を軽減することができます。

今回ご紹介する「ファイブセンス・カウントダウン」は、今いる環境の中で自分の五感を使いながら、心の中心軸を見つけていくというものです。落ち着ける空間さえあればどこでも実践できる方法なのです。

己の感覚に耳を傾ける方法を学びなさい。ほとんどの人間は数パーセントしかこの力を使わない。僅かにしか見ず、時たまにしか聞かず、匂いを嗅がず、皮膚でしか感じ取れないと考えている人が多い。しかし、人間はよく喋る。誠によく喋る。」

マイケル・スコット(アイルランドの作家)

私たちの頭の中では、絶えず自問自答が繰り返されています。こういった時間から離れるには五感を利用するのが効果的です。自分の頭で「あーでもない、こーでもない!」となってしまっている時には、いったん落ち着いて休息の時間を取りましょう。

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「ファイブセンス・カウントダウン」の実践方法

– 自分の為の一時を作ろう

短時間でいいので、五感全てを感じられるような落ち着ける環境を作ってください。

視覚

1. 視覚の時間

まずは大きく深呼吸をしましょう。

そして、周りを見回して目に入ってくる5つのものに注目してみます。

床、机、カーテン、木々、動物、なんでもOKです。

声を出してそれぞれの名前を言うのもよし、心の声で言うのもいいでしょう。5つのものを自分の視覚を通して認識するのです。

触覚

2. 触覚の時間

再び深呼吸をします。

今度は、身近で触れることのできる4つのものに注目しましょう。

例えば、腕についている腕時計、膝に触れるズボンの布、足底に感じる地面、または椅子の背もたれなど何でも構いません。

それらを心の中で唱え、実際に触れ、深呼吸をしてその感覚に集中します。

聴覚

3. 聴覚の時間

再度大きく深呼吸をして、今度は聴覚に集中します。

耳を澄ませて3つの音に注目してみて下さい。

風の音、鳥のさえずり、工事現場の音、車の走る音など、今聞こえる音で大丈夫です。

普段は注目することのない環境音に耳を傾け、それぞれの音を聴きながら個性、特徴、音のパターンや音程などに注目してみましょう。

嗅覚

4. 嗅覚の時間

また大きく深呼吸をしながら、今度は鼻を通る息に注目します。

そして、今いる空間で感じられる匂いを2つ見つけてみましょう。

心地良い匂いや不快な臭いに関わらず、普段は注目することのない匂いに注目するのです。風に乗って鼻を通るキンモクセイの香りかもしれませんし、台所から漂うチキンの香りかもしれません。洋服に染み付いたタバコの臭いだってあるでしょう。

味覚

5. 味覚の時間

最後にまた大きく深呼吸をしたら、自分の舌に意識を向けてみましょう。

食べ物や飲み物など、何かを口に入れて味わってみるのです。

飲みかけのジュースでも良いですし、チョコレートをひとかけら口に含んでみても構いません。もし何もなければ、今、口の中の状態を確認してどんな味がするか試してみるのもOKです。


いかがでしたか?

この「ファイブセンス・カウントダウン」のテクニックを実践することによって、考えごとをしている状態から今この瞬間に注目できる環境を作ることができます。そうやって徐々に気をそらせていくことでメンタルを平常に保つのです。

これだけでストレスが完全になくなると言う訳ではありませんが、ファイブセンス・カウントダウンによってリフレッシュの時間を取ることで、少なからずメンタルへの負担を減らすことはできます。悩みや不安に苛まれやすい人は、現状に目を向けることで、頭の中を巡るネガティブ感情から自分を解放させることが期待できます。

五感をフル活用することで改めて自分自身を認識し、「今この瞬間を生きている」という感謝の気持ちをもつことができれば、生をより強く実感でき、人生が明るくなるはずですよ。

画像: Unsplash
ソース:

Harris, R. (2013). Getting Unstuck in ACT: A Clinician’s Guide to Overcoming Common Obstacles in Acceptance and Commitment Therapy (1st ed.). New Harbinger Publications.

著者情報

SELF

北里大学医療衛生学部出身の医療系ライターを筆頭に、精神衛生やメンタルケアに特化した記事を得意とする。学術論文に基づいた記事を多く手掛けている。

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