• 「職場に行くことが怖くなってしまった…」
  • 「心の病気になってしまったけど、職場に復帰したい…」
  • 「どうしたら職場復帰を成功させられるのか知りたい…」

職場には、メンタルにダメージを与えてしまうような出来事がたくさん転がっています。メンタルはコップのようなもので、ストレスという水が溜まっていくと、いつかこぼれてしまいます。ストレスに耐えられなくなってしまうと、うつ病を始めとした精神病にかかってしまい、職場に行けなくなることもあります。

この記事では、そんなメンタルヘルス不全で休職している方が職場復帰をするために気をつけておきたいことについて解説します。

メンタルヘルス不全者が職場復帰をする際の問題点

パソコンを広げて職場で働く人たち
出展:Unsplash.com

メンタルヘルス不全者の職場復帰は、産休や育休といった長期休暇からの復帰と同じように捉えてしまうと、再び休職に至ってしまう可能性があります。

ある医師の研究によると、メンタルヘルスを要因とする休職について3回を超えてしまうと、健全な職場復帰が困難になってしまうとされています。ここでは、メンタルヘルス不全者が職場復帰をする際の問題点を解説します。

問題点1:メンタルがどれだけ回復したか分からない

メンタルヘルス不全者が職場復帰をするには、主治医の判断が必要になりますが、その判断は結局「主治医の主観的な判断」になってしまいます。

内科的な病気と異なり、メンタルヘルス不全は数値やデータで診断をすることができませんので、どれだけメンタルが回復したかが分からないといった問題があります。

一見元気そうに振る舞っていても、抑うつ状態が高度である場合もありますので、外見でどれだけメンタルが回復しているかは医師ですらも判断がつきません。もしメンタルが回復していないまま職場復帰して、気丈に振る舞ってしまうと、メンタルを再び傷つけてしまうかもしれません。

問題点2:完全治療されることは少ない

うつ病などのメンタルヘルス障害は、完全に治療されることは少ないと言われています。治療できたと思っても、一時的に症状が出ていないという「寛解(かんかい)状態」であることが多く、ちょっとした出来事でフラッシュバックのようにメンタルヘルス障害を再発してしまうことも珍しくありません。

例えば、上司からの叱責でメンタルヘルス障害を発症し、休職していた人が一定の休職期間を経て職場復帰した際、再び上司との関係性に悩んで休職してしまうことがあります。要するに、メンタルヘルス不全の症状とは長く付き合っていかなければいけないという心持ちが必要になってきます。

問題点3:余裕を持たずにすぐ復職してしまう

メンタル不全に陥ってしまう人は、HSP(Highly Sensitive Person)を始め、周囲の人のことを必要以上に考えて行動しやすいという特徴があります。

そのため、休職中にも自分のことを差し置いて、職場で働く同僚の為にすぐに職場復帰を決心してしまい、結果として再度休職してしまうケースもあります。職場復帰をする場合は、自分の思っている以上に余裕を持ってスケジュールを組むことが重要です。

問題点4:配置転換がメンタルに影響することもある

職場でのストレスがメンタルに影響を与えた場合は、職場の配慮で配置転換がされることもあります。

もちろんメンタルヘルス不全者のためを思っての処遇であるケースが基本的になりますが、受け手によっては、「会社によって降格されてしまった」、「もう自分は会社にとっていらない人物と認定されてしまった」と、ネガティブに捉えてしまうこともあります。

「自分のせいで」とネガティブに捉えるのではなく、なぜそうなったのかを客観的に判断する視点が大事と言えるでしょう。

スムーズに職場復帰をするために重要なこと

丘の上で犬といる女性たち
出展:Unsplash.com

上述したとおり、メンタルヘルス不全者の職場復帰には注意すべき様々な問題点があります。これらの問題点を全て解決することは難しく、あくまでも「緩和」が目指すべきゴールになります。

ここからは、休職しているメンタルヘルス不全者がスムーズに職場復帰するために重要なポイントについて解説します。

ポイント1:職場以外の人間関係を構築しておく

職場環境がメンタル障害の要因となっている場合は、職場以外の人間関係を構築しておくことで、落ち込んでしまったメンタルを回復させられる可能性があります。

家族や友人、恋人など、自分が素の状態で会話できるような人がいればいるほど、辛いと感じたことを共有したり、ストレスの原因以外に集中できる時間ができるので、メンタルの回復が望めます。

ポイント2:急いで職場復帰に踏み切らない

上述したとおり、職場のために早く職場復帰をすると、またすぐに休職してしまう可能性が高まってしまうかもしれません。確かに、貯金を切り崩して生活したり、残してきてしまった自分の仕事など、すぐに職場復帰をしたいと考えることは珍しくありません。

一方で、自分のメンタルが回復できているかどうかは、すぐに判断することはできません。自分で「もう職場に復帰できる」と感じても、一旦立ち止まり、第三者からも意見を聞いた上でゆっくりと職場復帰に向き合うようにしましょう。

ポイント3:メンタルが落ち込んだ原因と距離を置くようにする

職場でメンタルが落ち込むことになった原因は、人によって異なります。

上司からの叱責・仕事がうまくいかない・顧客からのクレーム・職場の人間関係など、様々な要因がありますが、もし自分のメンタルが落ち込んでいる原因が分かっていれば、その原因と距離を置くようにしましょう。距離を空けることにより、メンタルが深く落ち込んでしまうのを抑えられるかもしれません。

焦らずゆっくりと職場復帰を目指していこう

ストレスの溜まりやすい現代社会において、メンタルヘルス不全で休職してしまうことは珍しいことではありません。

もしメンタルヘルス不全で休職している人が職場復帰を考えている場合は、今回の記事で解説したような職場復帰をする際の問題点や、注意すべきことについて理解をした上で判断をするようにして下さい。

焦らずゆっくりと職場復帰に向き合うことが、メンタルヘルス不全で休職している人によって重要です。

Source:
柏木雄次郎,田口文人桃生寛和江花昭一芦原睦
「メンタルヘルス不全者の職場復帰支援に関する調査研究ー事業場内・外関係者双方への質問紙調査結果ー」

柏木雄次郎
「メンタルヘルス不全者の職場復帰が抱える諸問題」

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著者情報

SELF

北里大学医療衛生学部出身の医療系ライターを筆頭に、精神衛生やメンタルケアに特化した記事を得意とする。学術論文に基づいた記事を多く手掛けている。

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