ストレスを溜め込まないようにするためには、無理のない範囲でストレスを日々解消していくことが重要です。

そんな中、ストレス解消に役立つ飲み物としてコーヒーに注目が集まっているのです。

コーヒーの持つ健康効果とは?

コーヒーを飲んでいる女性
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コーヒーの健康効果については古くから知られており、500年以上前のアラビアではすでにコーヒーが「病気を治療し、眠気を遠ざける飲み物」として人々に親しまれていたといいます。

いったいコーヒーにはどういった健康効果があるのでしょう?

健康効果1.リラックス

海を眺める女性の背中
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コーヒーの香りにはリラックス効果があることも知られています。

コーヒーの香りをかぐことによって、脳がリラックスしたときに現れるα(アルファ)波が増加するということが、研究によって明らかになっているのです。

また、コーヒー豆によって違いがあることもわかっており、数あるコーヒー豆の中でも特に「グアテマラ」のコーヒーを摂取した際にα派の値が増加するという報告があります。

健康効果2.ダイエット

メジャーでウエストを計っている
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コーヒーはダイエットにも効果的です。

コーヒーにはカフェインが含まれていることが知られていますが、カフェインには脂肪を分解し、燃焼させる効果があります。また、コーヒーには自律神経のうち交感神経を活発にする働きもあるとされ、この効能によって脂肪代謝が促進され、ダイエットにも効果的とされているのです。

加えて、インスタントコーヒーはカフェイン量が少ないことがあるので、ダイエットにはカフェインが多いドリップコーヒーなどがおすすめです。

健康効果3.老化防止

笑い合うおじいさんと少年
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コーヒーに含まれるポリフェノールの一種「クロロゲン酸」には抗酸化作用があり、老化の抑制認知機能の向上に効果があるとされています。 

クロロゲン酸には皮膚を老化させる「フリーラジカル」という成分の生成を阻害する働きがあり、皮膚の老化を遅らせたり、紫外線などによる皮膚へのダメージを抑制する作用があります。

また、老化やストレスにかかわる受容体を守る役割があり、記憶力の低下を遅らせる効果もあるのです。

健康効果4.うつ病の抑制

窓際で憂鬱な表情をしている女性
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コーヒーを摂取することでうつ病のリスクが軽減されるという研究もあります。

アメリカで、抑うつ症状のない女性を10年間追跡した調査によると、カフェイン入りコーヒーの消費量が多かった女性はうつ病のリスクが低いことがわかっているのです。

これは、上記に列挙したような健康効果がメンタルヘルスの改善・向上につながっているからだと考えられます。

集中力アップの効果も!コーヒーで作業効率UP

コーヒーの香りが与える効果の図

コーヒーには脳をリラックスさせる効果だけではなく、集中力を高め、作業効率をアップさせる効果もあります。

ある実験では、コーヒーの香りを嗅ぐことで、人が集中した時に現れる「P300」という脳波が増加したという結果が出ました。

さらにその実験では、コーヒーの産地によって、集中力を高める効果やリラックス効果に差があることもわかりました。

たとえば、先述した「グアテマラ」「ブルーマウンテン」といった種類のコーヒー豆は、リラックス効果は強いものの、集中力を高める効果は「ブラジルサントス」や「マンデリン」に比べて低いことがわかっています。

リラックスしてストレスを軽減したい時、集中して作業効率を高めたい時など、その時の目的や気分に合わせてコーヒーの種類を変えることで、コーヒーの持つパワーをより効果的に引き出すことができるでしょう。

ストレスから心を守る「3つのR」

テーブルに置かれているコーヒーカップ
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精神医療の分野では、ストレスを軽減し、うつ病などの精神疾患を予防するためには「3つのR」が重要とされています。

  1. Rest(休息)
  2. Relaxation(癒し)
  3. Recreation(活性化)

これらを日常的に心がけることで、日々のストレスを緩和し、溜め込まないようにすることができるとされているのです。

「3つのR」を実践するためには様々な方法があります。スポーツや趣味を楽しんだり、旅行に行ったりすることも有効ですが、手軽さという点ではハードルが高いと感じる人もいるかもしれません。

そんな人には、コーヒーブレイクの習慣を持つことがおススメです。ストレスを感じた時や、仕事や家事の合間などにコーヒーを飲むことで、3つのRを手軽に実践できるとされているのです。

最適なコーヒーブレイクは「自分でコーヒーを淹れること」

コーヒーをハンドドリップしている
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「3つのR」を効果的に実践するためには、ただコーヒーを飲めばいいというわけではなく、「コーヒーを自分で淹れること」が大切です。

コーヒーの持つリラックス効果(Relaxation)は前述した通り。さらにコーヒーを飲むためにお湯を沸かし、コーヒーを淹れるという作業をすることによって「休憩(Rest)」にもなり、ストレスを感じる事柄から一時的に離れることができます。

無数のコーヒー豆
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また、コーヒーには様々な産地や種類があり、お湯の量や温度、焙煎などによっても味や香りが変わります。そういった様々な要素の組み合わせを考えて、自分好みの一杯を淹れることは、レクリエーション(Recreation)としての楽しみにもなります。

近年はスーパーやコンビニなどでも様々な産地のコーヒーが手に入ります。こだわる人は、インターネットやコーヒーショップなどで豆の状態のものを手に入れ、自ら豆を挽くところから始めると、よりレクリエーションの要素が強まるでしょう。

もちろん、そこまでしなくても、お湯を沸かしてコーヒーを淹れるだけで、「3つのR」を手軽に実践することができます。

ちなみに、コーヒーに含まれるクロロゲン酸はお湯に溶かすだけのインスタントコーヒーよりも、ドリップコーヒーに多く含まれているといいます。インスタントに比べて一手間増えてはしまいますが、美容や心身の健康を意識するのであればドリップコーヒーがオススメです。

飲み過ぎ注意!カフェインの過剰摂取に気をつけよう

テーブルにあるコーヒーカップとコーヒー豆
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ここまでに示したように、様々な健康効果を持つとされるコーヒーですが、飲み過ぎはカラダによくありません。

コーヒーの1日の摂取量の目安は、欧米では健康な成人であれば1日にカップ3〜5杯。カフェイン400mgまで」とされています。これ以上の摂取は逆効果となり、上記に挙げたような健康メリットが得られないどころか、健康に悪影響を及ぼすおそれがあるのです。

コーヒーの過剰摂取によるデメリットを列挙します。

デメリット1.胃が荒れる

お腹を手で押さえている
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健康にコーヒーに含まれるカフェインは、胃液の分泌を促し消化を助ける効果があるとされていますが、空腹時に過剰摂取することで胃液が過多となり、胃が荒れる原因となってしまいます。

デメリット2.眠れなくなる

ベッドで寝れなさそうな女性
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カフェインには神経を興奮させる作用があるため、就寝前に摂取することで人によっては眠れなくなったり、眠りが浅くなるといった症状が出ることもあります。

神経が過剰に刺激されると、めまいや心拍数の増加といった身体面での不調、不安や緊張といった精神面での不調などに繋がることもあります。

逆にこの覚醒作用を利用して、短時間での効果的な仮眠に利用することもできます。

→ずっと眠い、眠くて仕方ない…そんな時の仮眠テクニック

デメリット3.カフェイン中毒になる

コーヒーカップの周りに散らばるコーヒー豆
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カフェインを必要以上に摂取し続けると、体がカフェインに慣れてしまいリラックス効果や興奮作用が効きづらくなります。そのため、だんだんと摂取量が増えていき、「カフェインを摂取しないと集中できない」「疲労感が続く」といったような症状が表れます。

症状が悪化すれば吐き気動悸心肺停止を引き起こすおそれもあるため、過剰摂取には注意が必要です。

これ以外にも、カフェインの過剰摂取によるデメリットは多数報告されています。適度な摂取を心がけて、よりよい日常を送ってくださいね。

Source:

矢島潤平,長谷 真,岩永 弘,甲斐みゆき,志賀二郎
「コーヒー摂取による作業成績の向上とストレス反応の軽減」(【研究ノート】別府大学文学部人間関係学科,別府大学大学院文学研究科臨床心理学専攻,別府大学短期大学部食物栄養科)

「コーヒーと健康」(全日本コーヒー協会HP)

Michel Lucas, PhD, RDFariba Mirzaei, MD, MPH, ScDAn Pan, PhDet al
「Coffee, Caffeine, and Risk of Depression Among Women」 Sep 26, 2011

著者情報

SELF

北里大学医療衛生学部出身の医療系ライターを筆頭に、精神衛生やメンタルケアに特化した記事を得意とする。学術論文に基づいた記事を多く手掛けている。

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