- 「緊張して眠れない」
- 「不安が頭から離れない」
そんな経験がありませんか?
緊張や不安は交感神経を優位にさせ、目が覚めて眠れなくなってしまいます。眠れないことにイライラすると、さらに寝付けなくなるといった悪循環をも招きかねません。
そんな悪循環に陥らないためには、漫然と夜を迎えるのではなく、睡眠のための準備をすることが必要です。睡眠のための準備とはズバリ、心身のリラックスです。
目次
緊張・不安を解くリラックス方法とは

リラックスが大切だとはいえ、いきなり「さぁリラックスしてください」と言われても困りますよね。そこで、緊張や不安を和らげるおすすめのリラクセーション方法を紹介します。
1.音楽を聴く

音楽には人の精神に影響を及ぼす作用があるということは広く知られています。
音楽を聴くことで心拍数や血圧が減少することも研究によってわかっており、音楽療法と呼ばれる治療法が医療の現場でも取り入れられています。
リラックス状態を促すには、ゆったりとしたテンポで気分が落ち着く曲を選びましょう。音楽を聴くことに意識を集中することで、ネガティブな思考が抑制され、リラックス効果を得ることができます。
2.アロマを用いる

音楽と同様、香りにも人の心身に働きかける効果があります。
アロマのお香やキャンドルの香りを寝室に満たすことで、気持ちが落ち着き、心地よい睡眠を得ることができます。
また、入浴時に湯船にアロマオイルを入れるアロマバスや、マッサージやスキンケアにアロマオイルを用いることでもリラックス効果を得られるとされています。安眠やネガティブ気分の解消にはラベンダーやベルガモット、スイートオレンジの香りが効果的と言われています。
3.腹式呼吸を行う

腹式呼吸とは、下腹部をへこませたり、膨らませたりするように意識して行う呼吸法です。
息を吐く時はゆっくりと下腹部をへこませるように長く息を吐き、息を吸う時は下腹部が大きく膨らむように息を吸います。これを繰り返すのです。
人は緊張した時やストレスを感じた時は呼吸が浅く、速くなるとされています。逆に呼吸を深くゆっくりと行うことで、心身をリラックスした状態に導くことができます。カラダの中の緊張を息とともに吐き出すようにイメージすると、リラックス効果が高まるとされています。
眠る前に避けたい3つの行動とは
逆に、就寝前には適さない行動もあります。特に以下のことには注意しましょう。
NG1.激しい運動

NG2.カフェインやニコチンの摂取

NG3.スマホ、パソコン、テレビを見る

このような行動は交感神経を活発にさせ、夜に脳を覚醒させてしまうといった自律神経の乱れを誘発するおそれがあります。
就寝前はなるべくこれらの行動を避け、リラックス行動をとって副交感神経優位の状態にすることが大切です。
眠れない夜にオススメの「漸進的筋弛緩法」

心身をリラックスさせる方法として、1930年代にアメリカの神経生理学者によって考案された漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)という方法があります。
これは、全身の筋肉を意識的に弛緩させることで、心身をリラックス状態に導く方法です。自分自身で実践でき、特別な道具や環境を必要としないことから、手軽に行えるリラクセーション法として、がん治療などの現場にも取り入れられています。
人間の全身の筋肉は、大脳や神経系と密接に関わっているとされ、筋肉を弛緩させることによって大脳の興奮を抑えることができると言われています。大脳の興奮が抑えられ、自律神経が副交感神経優位の状態となることで、心身ともにリラックスした状態になるとされています。
「漸進的筋弛緩法」のやり方

漸進的筋弛緩法はカラダの各部の筋肉に10秒間チカラを込めて緊張させ、その後15〜20秒間脱力し弛緩させるという基本動作を繰り返します。筋肉にチカラを込める時は、その部位の筋肉に意識を集中させ、弛緩させる際はチカラが抜けているということをしっかり意識しながら行っていきます。
ここからは漸進的筋弛緩法の実際のやり方を紹介します。リラックスできる環境で、椅子に浅く腰掛けた状態で行いましょう。
①両手
両腕を前に伸ばし、掌を上にして、親指を曲げて握り込む。10秒間力を入れ緊張させる。その後、手をゆっくり広げ、膝の上において15~20秒間脱力・弛緩する。
(※以下、10秒間チカラを入れて緊張させた後、15〜20秒脱力して弛緩させる手順は同じ)
②上腕
握り拳を肩に近づけ、曲った上腕全体にチカラを入れ、その後脱力・弛緩する。
③背中
②と同じ要領で曲げた上腕を外に広げ、肩甲骨を背中の中心に引き付ける。
④肩
首をすぼめるように両肩を上げ、肩にチカラを入れる。
⑤首
チカラを込めて右側に首をひねる。左側も同様に行う。
⑥顔
口をすぼめて顔のパーツを中心に集めるようなイメージでチカラを込める。弛緩させる際は口をぽかんと開けたような状態にする。
⑦腹部
腹部に手をあて、その手を押し返すようにチカラを入れる。
⑧足
爪先まで足を伸ばし、足の下側の筋肉を緊張させる。また、足を伸ばし、爪先を上に曲げ、足の上側の筋肉を緊張させる。
⑨全身
①〜⑧で使った筋肉を同時に10秒間緊張させる。その後ゆっくりとチカラを抜き、15~20秒間脱力・弛緩する。
以上の動作を10〜15分かけて行いましょう。
筋肉を最大限緊張させて一気に弛緩する感覚を体得することが目的ですが、力み過ぎてしまうと足がつったり、思わぬ怪我を招いてしまう恐れもあります。各部の筋肉に込めるチカラは60〜70%を意識しましょう。慣れることで就寝時以外でも、時間や場所を選ばず手軽にリラックスする方法を得ることができます。
リラックスして眠れない夜を改善しよう

ここまでに紹介した方法以外にも、一般的なリラクセーション法はたくさんあります。
リラクセーションは、自分に合った方法で行うことが大切です。自分に合った方法がわからないという人は、手軽に始められるものから、色々と試してみるといいでしょう。
睡眠は、人間が生命を維持するために必要不可欠な健康行動です。また、人は一生の3分の1を睡眠に費やすと言われるほど、人生の中で睡眠は多くの時間を占めています。充実した睡眠習慣を持つことは、生涯を通して心身の健康を保ち、その人が持つ能力を存分に発揮したり、さらなる成長を遂げることに寄与するでしょう。
すでにカラダに染み付いている生活を変え、より良い睡眠習慣を身に付けることは、簡単なことではないかもしれません。

しかし、それを実現することによってこの先の自分の人生がより健康的で充実したものになると思えば、努力する価値は十分にあるのではないでしょうか。
また、今はスマホアプリでメンタルヘルスをケアできる時代です。AIロボと会話しながら心を落ち着かせ、感情を記録することで自身を客観的に見ることができます。眠れない夜が続くなら、ぜひ一度「AIカウンセリング」を試してみてください。
→ SELF MIND
Source:
川添 郁夫,則包 和也,北嶋 結
「看護学生に対する呼吸法・漸進的筋弛緩法によるリラクセーション法の効果」(保健科学研究 6:29―39,2016)
文部科学省
「ストレスへの対処」