あなたはメンタルケアをしていますか?

WHO(世界保健機関)によると、2020年時点で世界中の約4人に1人が何かしら心の問題を抱えていると言われています。さらに近年、新型コロナウイルスによるコロナうつも深刻な問題となっており、うつ病をはじめとする精神障害は誰しもが罹患するおそれがあります。

しかし、いざ臨床心理士や専門家に相談しようと思っても、費用が高かったり、診療に行くタイミングが合わなかったり、はたまた気がひけるといった理由で診療せず、結果的に一人で抱え込むケースが多いのが現状です。

そんな中期待されているのが、メンタルヘルスの改善に特化したスマホのアプリケーションです。

「メンタルヘルスケア」アプリの主なジャンル

スマホをいじる男性の手
出典:Unsplash.com

いざメンタルヘルスアプリを使ってみようと思っても、どれを使えばいいのか迷ってしまいますよね。以下、おおまかにタイプ分けしてみました。

  • 診断、エクササイズ
  • ヒーリング音楽や動画を体験
  • AIとのコミュニケーション
  • エンタメ

他にもありますが、好みや目的、用途別にアプリを選定するといいかもしれません。それでは、この分類ごとにオススメのアプリを紹介していきましょう。

【診断・エクササイズ系アプリ】

ストレススキャン カメラで手軽にストレスチェック!

ストレススキャンの説明

スマホカメラのレンズ部分に指を当て、90秒ほどでストレス指数をチェックできるアプリです。

このアプリで言うストレス指数とは心拍変動解析(HRV)の技術によって独自に数値化されたもので、高いほどストレスが溜まっていると判断します。測定したストレス指数は記録され、日々のストレスレベルを追うことができるので、継続して使うとメンタルヘルスに効果的でしょう。

また、呼吸法(60秒)などの簡単なエクササイズもあり、その後再びストレスレベルを測定することもできるので、エクササイズによって自分の状態がどう変化したかを確認するのもよさそうです。

COCOLOLO

COCOLOLOの説明
参考:WINフロンティア株式会社

こちらもカメラのレンズに指を当てて(30秒ほどで)ストレスレベルを測定できるアプリです。

今までしていた行動(仕事、趣味、食後など)をもとにストレスレベルを測定し、測定結果をもとにオススメの音楽癒し動画ストレス解消法アドバイス、さらに食事まで教えてくれます。

また「カフェノート」と呼ばれる家族や友人と結果をシェアできる機能があり、周りと繋がっているという安心感を得られたり、他人の変化に気づくことができる点も魅力です。

CARTE

こちらも、スマホのレンズでストレスレベルを測れるアプリです。

  • ・心拍数(bpm)
  • ・自立神経活動量
  • ・自律神経バランス

主にこれらの項目を測定できます。

このアプリの特徴は2つ。
1つは、医学部教授が全面監修しているという点において、説得力のあるアドバイスを受けられることでしょう。アドバイスを元に自分を客観視し、こまめに測定結果を記録していくことで、自律神経の乱れを減らしていくことが期待できます。

もう1つは、30秒ほどでできるエクササイズが動画付きでたくさん紹介されている点です。エクササイズを紹介しているインストラクターも自律神経の研究に携わっているので、安心して取り組めるのではないでしょうか。

【ヒーリング系アプリ】

cocorus – マインドフルネス瞑想・睡眠の瞑想

主にヒーリング(癒し)効果のある曲、動画、効果音などを流してくれます。水流やそよ風などの環境音や、神秘的な音楽などは心を落ち着かせる手助けとなるのではないでしょうか。

また、「ヨガニードラ」と呼ばれる手法が多数紹介されています。ヨガニードラとは簡単に言うと寝たまま行えるリラクセーション法で、瞑想に近いものです。疲れが取れない人無理をしてしまう傾向にある人などに効果的で、ヨガニードラはメンタルヘルスの改善にも期待されているのです。

全体的にシンプルな構造になっているので、使いやすいアプリと言えるのではないでしょうか。

Tide:睡眠音と集中タイマー

こちらもヒーリング音楽に特化したメンタルヘルスケアアプリです。

「集中」「睡眠」「仮眠」「呼吸」の4つの状況において、それぞれに合う環境音を選んで聴くことができます。波の音、雨、草木のゆらぎ、ドライブ中の車の音など、タイマーをセットして聴き続けられるので、リラックスするには最適と言えます。呼吸法も実践できるので、ちょっとした息抜きに活用することも可能です。

体験後にストレスレベルを診断し、記録していくことで日々のストレスの変化を知ることができるので、続けていくことによってストレス軽減が期待できそうです。

Meditopia:瞑想、マインドフルネス、睡眠

音声ガイドを聴きながら、環境音を中心としたヒーリング音楽でリラックスできるアプリです。

また、音楽だけでなく詩の朗読物語を聴くこともでき、睡眠時や休憩時には特に効果を得られやすいのではないでしょうか。

その他、メンタルヘルスに関連するコラムやティップスが読めたり、アプリのセッション数やケアした時間を追うことで自分の状態の変動を知ることができます。自分以外に何人が瞑想しているかが共有されているのも特徴のひとつです。

【AIとのコミュニケーション系アプリ】

SELF MIND – AIとストレスケアapp

SELF MINDのアプリ画面
参考:SELF MIND

弊社開発のメンタルヘルスケアアプリです。

従来のチャットボット系アプリと違い、自然な言葉遣いと記録の蓄積を融合させ、まるで人間と会話をしているかのような体験を可能にしたAIロボットです。医療系の論文および専門書を根拠とした「カウンセリング会話」「ストレス・コーピング(ストレス解消法)」という2つの要素を軸に、今のあなたにとって最適なストレスケアを提案していきます。

また、ストレスレベルをチェックして記録していくことで、あなたの情報をロボットが覚え、回数を重ねていくにつれて提案する内容の精度が上がっていくのも特徴のひとつです。

こちらに詳しい使い方が載っているので、よろしければ参考にしてみてください。

emol – AIと一緒にセルフケア

チャット式の会話で、何気ない会話のやりとりから悩み相談、リラックス法、ポジティブになるためのアドバイスまで幅広く提案してくれます。

また、感情が9つに分類されていて、それぞれの感情によって会話内容が変化していくのも面白い点です。続けていくことでユーザーの心の状態が記録されグラフとして表れるので、自分の状態を把握しやすいという特徴もあります。

見た目が可愛らしいので、ついつい話し込んでしまうこともあるかもしれません。

【エンタメ系アプリ】

ストレス解消・癒しのアプリ「聞いてよ!クマさん」

「何かアドバイスをくれる」「診断してくれる」というようなことではなく、ある種遊び感覚でストレスをケアできるのがこのアプリです。

流れとしては、自分の抱えている悩みなどを(画面上のメモに)入力して、そのメモをクマが燃やしたりヤギに食べさせたりして、悩みを書いたメモが画面上から消滅します。

ただクマが画面上でメモを処分しただけで、実際に抱えている悩みが消えたわけでも解決したわけでもないのですが、視覚的に「悩みが消えた」ことでどことなく心が落ち着くような感覚を得られるのです。

ストレス解消の目的以外にも、可愛らしい見た目やキャラクターも人気を誇る一因です。

Fluid Simulation

こちらも「聞いてよ!クマさん」同様、遊び感覚で楽しめるエンタメ系メンタルヘルスケアアプリです。

やり方は簡単、画面をなぞると光輝く煙のようなものがなぞった通りに出現するというものです。まるで水に絵の具を垂らした時のように、カラフルな模様が画面に広がっていく様子はついつい見入ってしまいます。色や漂うスピード、模様の粘度などは調節できるので、自分好みの模様を作り出すことができます。

漂う模様はキャプチャーで保存でき、またスマホ内の音楽を聴きながらでも使えるので、一人の時間などに重宝するアプリかもしれません。

好みのアプリでメンタルケアをしよう

出典:Unsplash.com

ここに掲載したもの以外でも、メンタルヘルスに特化したアプリはたくさん存在します。

ストレスや悩みというのは、いつどこで降りかかってくるかわかりません。「相談しようかな」と思っても、相談しにくい内容だったり、タイミングがわからなかったりすることもあるでしょう。

しかし、スマホアプリなら時間や場所を選ばずに気兼ねなく使うことができます。ストレスを解消できないこと自体もストレスになりうるので、こまめに発散するに越したことはありません。「なんか疲れたな」「つらいな」と思ったときには、ぜひ「SELF MIND」を試してみてください。

Source:

鈴木ひかり(立命館大学大学院人間科学研究科)、高階光梨(関西学院大学大学院文学研究科)、大橋佳奈(立命館大学大学院人間科学研究科)、白塚龍太郎(立命館大学大学院人間科学研究科)、宮下太陽(立命館大学大学院人間科学研究科、株式会社日本総合研究所)、光健吾(立命館大学総合心理学部)
【うつ病に対する心理学的支援を目的としたモバイルアプリケーションのレビュー】

著者情報

SELF

北里大学医療衛生学部出身の医療系ライターを筆頭に、精神衛生やメンタルケアに特化した記事を得意とする。学術論文に基づいた記事を多く手掛けている。

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