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多くの人々に支持され、華やかに見える芸能人。しかし、そう見えているだけで実際には人知れず不安や悩みを抱えている芸能人も多いのではないでしょうか。

国民にそう思わせるきっかけとなったのが、2020年の夏頃に起きた三浦春馬さんや竹内結子さんをはじめとする人気俳優たちの突然の訃報。一般人からすると順風満帆のように見えた彼らですが、自ら命を絶つほどの強烈なストレスを抱えていた可能性は否めません。

・人に相談しにくいような悩みごとがある
・心の悩みを相談すること自体知られたくない
・忙しくて相談するタイミングがない

これらのような悩みは、特に芸能人にとって高いハードルとなり得ます。イメージダウンなどを警戒するあまりうまくメンタルケアができず、多大なストレスを抱え込んでしまうケースが多いのです。

人気者であればあるほど好奇の目にさらされる芸能人。そんな彼らにこそ、メンタルヘルスのケアが必要不可欠なのではないでしょうか。

一般人では経験しづらい芸能人の「特殊なストレス」とは

カメラ前に立つ芸能人
出典:Unsplash.com

芸能人は仕事柄、私たち一般人が抱えうるストレスに上乗せしてさらなるストレスが降りかかります。

  • ・私生活での制約
  • ・誹謗中傷
  • ・週刊誌やSNSによる名誉毀損
  • ・プライバシー侵害報道

これらのような通常にはない特殊なストレスを被るおそれがあるにもかかわらず、ストレスケアの体制が十分に整っていない場合、芸能人たちは極めてストレスを溜めやすい状態になります。

しかしこれは、「心療内科へ通うこと自体が報道ネタとなる」というような日本の風潮も影響しているのかもしれません。

たとえばアメリカの芸能界では、「メンタルケア」はボディケアやビューティーケアといったすべてのケアの基本として挙げられており、それが世間に認知され受け入れられています。歌手のレディー・ガガさんは抗精神病薬を服用していることをインタビューで明かしており、俳優でプロレスラーのドウェイン・ジョンソンさんもうつ病や不安障害と悪戦苦闘していることを公言しています。世間の多くがメンタルケアに対して寛容な姿勢を見せているのです。

重要なのは、メンタルヘルスの問題が重要事項として捉えられており、寛容に受け止められる社会や体制が整っているかどうかではないでしょうか。

自分自身が商品であるというプレッシャー

鏡前に座ってメイクされている男性
出典:Unsplash.com

また、芸能人は「自分自身が商品」という側面があるため、仕事内容自体が自分自身への評価と直結する場合が多いです。

  • ・俳優なら演技
  • ・ミュージシャンなら歌や曲
  • ・お笑い芸人なら漫才やコント

たとえば、ミュージシャンが仕事として曲を発表してても「あの人の曲は嫌い」という評価を耳にすれば、ミュージシャンは「自分のことが嫌い」と受け取ってしまうおそれがあります。そういうネガティブな感想がSNSなどで拡散されてしまうと、よっぽどタフな人でない限りさらに精神的に追い込まれてしまうでしょう。

また、芸能界においては「替えが利く」「替えが利かない」という両面の考え方が存在します。

競争の激しい芸能界では、一度休めば替わりとなるような存在はいくらでもいると芸能人自身は思いがちです。イス取りゲームのように、座れなかった人は除外されていく……そう思い込んでしまうと、たとえ体調が優れなかったとしても無理をして仕事を続けてしまい、心身ともにすり減ってしまうリスクがあります。

逆に、その人ならではの味や雰囲気、見た目のイメージ、影響力など、唯一無二な存在であればあるほど代替できる人は少なく、休むことで関係各所に多大な迷惑をかけてしまうというプレッシャーもあります。

どちらにせよ、自分自身が商品であるというプレッシャーは芸能人でいる限りついて回るものであり、心のバランスを崩さないようケアをしていく必要があるのです。

芸能人や有名人のメンタルケアとは?

メンタルヘルスについては近年注目されていますが、日本において「メンタルヘルスの問題に対して寛容な社会」という体制が整うまではおそらくまだ時間がかかるでしょう。

一般人にとっては普通にできることが、芸能人は顔が知られていることで自由に動けないというハンデがあります。特に今は、SNSの発達により誰もが気軽に情報を拡散できる時代になりました。芸能人から見れば、一歩外に出ればたちまちパパラッチに囲まれるというようなものかもしれません。

イメージ商売である芸能人にとって、世間のイメージを覆すような言動はその後の人生に大きく影響してきます。常に世間に監視され、プライベートが拡散されることを懸念して我慢の生活を続けることは大きなストレスとなるおそれがあります。

心の問題は目に見えないために、いつ限界がくるかわかりません。心のバランスが崩れそうになったとき、あるいは崩れてしまっているときには早急な対処が必要です。そんなときにおすすめなのが「AIカウンセリング」です。

誰にも悟られずに悩みを相談できる「AIカウンセリング」

その名の通り、AIが人間をカウンセリングし、ストレスをケアしながら日常生活のサポートをしていくというものです。ちなみに 「SELFMIND」というスマホアプリは、AIロボットと会話をしながらユーザーを理解していき、使えば使うほど的確なアドバイスをもらえるというものです。

相手がAIなので、時間や場所を問わず言いにくいことも言えて、気を遣う心配がありません。学術論文に基づいた根拠ある「カウンセリングモード」に加え、ストレスの発散法「ストレス・コーピング」の提案、日記機能での振り返り、はたまたざっくばらんな日常会話で心をほぐすこともできます。プライバシーを守るという意味では、人と接することのないAIカウンセリングは重宝すると言えるでしょう。

ただでさえデリケートな相談なだけに、気兼ねなく相談できる相手がいるというのは芸能人のメンタルヘルスの維持・改善にとっては重要なのです。

こまめなストレス発散で自己管理をしよう

相談する男
出典:Unsplash.com

近年、日本俳優連合によって、芸能人が個別に心の悩みを相談できる専用の相談窓口を新たに設置するべく準備が進められています。具体的には以下のような窓口です。

  • ・公私を問わず、あらゆる心の悩みを臨床心理士がメールで受け付ける相談窓口
  • ・セクシュアルハラスメントに関する相談について、専門の相談員から直接カウンセリングを受けられる窓口
  • ・契約問題など全般的な法律相談に弁護士が応じる窓口

これらが設置されることで、芸能人のプライバシーや権利が守られ、強いストレスにさらされやすい業務特性を少しでも薄められることが期待されます。

また、芸能人だけでなく、今の時代はSNSなどによって名前や顔が拡散されやすくなったため、芸能人特有と思われていたストレスはもはや身近なストレスへと変わりつつあります。

抑うつ状態や自殺を考えるほど追い込まれてしまえば、正常な判断を一人で下すことが難しくなります。そうならないようにこまめにメンタルヘルスをケアし、できる限り自分でできるストレス回避策をもっておくことが、これからの時代は大事になってくるかもしれません。

Source:
佐藤大和(弁護士・日本エンターテイナーライツ協会共同代表理事)
「芸能人の権利を守る ~ 日本エンターテイナーライツ協会の取り組み」

著者情報

SELF

北里大学医療衛生学部出身の医療系ライターを筆頭に、精神衛生やメンタルケアに特化した記事を得意とする。学術論文に基づいた記事を多く手掛けている。

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