あなたはコーチングという言葉をご存知ですか?

コーチングとは「相手から答えを引き出し、目標を達成するための行動を支援するコミュニ
ケーション技術」
のことであり、文字通り精神面でのサポートを中心としたコーチングをメンタル・コーチングと呼んでいます。

今や、人材開発の手法としてコーチングを取り入れる企業も出てきており、メンタルヘルスの強化は重要事項と位置付けられています。

この記事では、コーチングの意義や有効性コーチングについて解説します。

コーチングを受けることでストレスを軽減できる

コーチングは、1950年代にアメリカでビジネス分野への有効性が話題となり、日本では2000年頃から企業・教育の分野で活用されるようになりました。

ストレス状況に置かれた人の多くは、出来事に対してネガティブにとらえがちです。同じ出来事を体験しても、ストレスの感じ方は人によって異なることから、ストレッサー(ストレスの原因)の強さではなく、ストレスに対する認知対処(コーピング)が重視されます。

ストレスを低減させるためには、コーチングを活用することでストレッサーに対する認知や行動を変化させたり、対処法を学習することが重要なのです。

また、コーチングには国内のみならず国際的な資格も発行されています。ICF(国際コーチング連盟)は、2019年には約71,000人のコーチがいるという調査結果を発表しており、世界的にもメジャーな手法と言えます。

コーチングとティーチングとの違い

大きな部屋で講義を受けている人たち
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コーチングに似た言葉として、ティーチングというものがあります。

コーチングとティーチングの大きな違いは、会話の目的です。
コーチングの目的が「双方向の対話の中で相手からの考えや答えを引き出す」ことであるのに対し、ティーチングは「一方的に知識やノウハウを相手に伝える」こととなっています。

  • コーチング:個人のフォロー、才能を引き出す
  • ティーチング:学習、研修

こういった特性を把握し、人や状況によってコーチングとティーチングを使い分けることが大切です。結果的にそれが能力開発へとつながり、個人の成長を促すことになるでしょう。コーチングとティーチングの違いについては、以下の表をご参照ください。

コーチングとティーチングの違いをまとめた表

コーチングを受ける必要がある人とは?

モニターを指差しながら説明している男性
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コーチングを受けることで、今の自分にはない答えが見つかる可能性があります。

以下のケースに当てはまる人は、何らかの気づきを得られるかもしれません。

ケース1.今の状況を変えたい人

ノートを広げている女性に教えている男性
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仕事内容や職場環境、恋愛、勉強など、現状を変えたいと感じているものの、何から取り組めばいいか分からないという人はメンタル・コーチングを体験するといいでしょう。

日本の研究によると、趣味に熱中することに罪悪感を覚えていたり、子どもが学校のことを話してくれないことにイライラするといった被験者たちが、自らそういった意識を自覚することで、家族との関係を見直すことができたという報告があります。コーチングで話すことによって、自身の言動を客観的に見ることができるようになった結果と言えるでしょう。

逆に、現状に満足していて特に変化を求めていない人は、コーチングを受けても大きな効果は得られないかもしれません。

ケース2.ストレスを感じている人

パソコンの前で頭を抱えている女性
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また、職場や学校などでストレスを感じている人にもコーチングは有効です。

ストレスを受けると主観的なものの見方になりがちなため、建設的な考え方や解決方法が見つかりにくくなります。そのため、コーチングを受けることで多角的に物事を見る必要があります。

多角的な視点をもつことができれば、ストレス反応を引き起こす出来事と、その記憶に紐づいている原因を追求することが可能になり、自分自身の価値観やもっとも大切にしているものが明確になるでしょう。

さらに、自分自身の本音に気付くこともできます。
日常生活で無意識に表に出さないようにしていることや、押さえつけている感情をあぶり出すことで、ストレスの本質をとらえ、根本的に解決することができるかもしれません。

ケース3.苦手意識をもっている人

女性にアドバイスしている男性
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何かに苦手意識をもっている人は、苦手意識をなくす、もしくは薄めていくことが大切です。

ストレスを抱えている人同様、苦手意識も主観的になりやすいため、コーチングにより意識改革をするのが効果的でしょう。

何が苦手なのか、なぜ苦手になってしまったのか、どうすれば苦手じゃなくなるのか、苦手を細分化して考えていくことで苦手の本質を突き止めます。ネガティブな要素を一人で考えると思考停止してしまいがちなので、第三者と一緒に深掘りしていくと問題解決しやすいでしょう。

コーチングを受けるメリット

コーチングは自身の考えを引き出すという性質があるため、主体的かつ能動的な思考が得られます。コーチングを受けることの具体的なメリットとしては、主に以下が挙げられます。

メリット1.物事を自主的に解決する力が付く

パソコンをしている男性と、それを見守っている男性
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コーチングでは、自分の中に眠っている答えを引き出していく対話を行います。そのため、対話の中で「自分は何を問題だと感じていて、どのようにしていきたいのか」「解決(達成)するためにはどのように計画立てて行動すればいいのか」といった思考を幾度となく行うことになります。

これにより、課題と向き合った時、誰かがどうにかしてくれるという受動的思考から、自分が解決していくという主体的な行動を取るように思考が変化するというメリットがあります。

メリット2.コミュニケーションスキルが向上する

パソコンをしている女性と笑顔で会話している男性
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コミュニケーションスキルは、どの世界においても重要視される能力の一つです。

コーチングを受けると、自然と対話を繰り返すことになるのでコミュニケーションスキルの向上が期待できます。

それだけでなく、「相手が何を思ってその発言をしているのか」といったような発言の意図を汲み取る能力も養えるので、人としての成長にも繋がるでしょう。

メリット3.ゾーンに入りパフォーマンスを発揮ができる

パソコンを広げながら紙に書いている女性の手
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「ゾーン」とは、感覚が研ぎ澄まされ、対峙する物事以外の雑念を取り払っている超集中状態のことです。一般的にスポーツの世界で使われることの多い言葉ですが、ビジネスや学業においてもゾーンは存在します。

コーチングに集中して取り組むと、課題達成に至るための流れに気づくことができ、結果として成功するイメージが醸成されます。このように、ポジティブな思考を継続させることでゾーンに入り、最大限のパフォーマンスを発揮できるようになるのです。

また、ポジティブ思考が続くことでメンタルが落ち込むといった課題も解決され、メンタルヘルスケアにも有効であると考えられます。

どうやったらコーチングを受けられる?

ホワイトボードの前で説明している男性
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そもそも、コーチングとはどうしたら受けられるのでしょうか?

コーチングを受けるにはまずコーチを選ぶ必要があります。コーチングを提供している会社のホームページだけでなく、スキル販売を行なっているマッチングサイトなどでもコーチを検索できるので、「話しやすそう」「コーチング実績」といった観点で選ぶといいかもしれません。

また、コーチングの方法はオフラインでもオンラインでも可能としている場合が多いですが、念の為コーチに確認することをおすすめします。

他にも、料金や回数などはコーチによって様々ですので、自分がコーチング受講に集中できるようなコーチを見つけるようにしてください。

AIがメンタルコーチング?「SELF MIND」ストアページ

コーチングで自分と向き合い、メンタルケアを

笑顔でパソコンをしている女性二人
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ここまでいろいろ見てきましたが、百聞は一見にしかずというように、コーチングは実際に受けてみないと効果は分かりません。

コーチによってはおためしコーチングと称して、トライアル価格でコーチングを提供していることもあるので、まずは試してみるというスタンスで臨んでもいいでしょう。

一人で悩みを抱えたまま抜け出せなくならないように、コーチングを活用し、自分も知らない自分と向き合ってみてはいかがでしょうか。

Source:

松田輝美、津田彰
日本語教師を対象にしたメンタルヘルス対策としてのコーチングの実、」

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著者情報

SELF

北里大学医療衛生学部出身の医療系ライターを筆頭に、精神衛生やメンタルケアに特化した記事を得意とする。学術論文に基づいた記事を多く手掛けている。

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