音楽で心の癒しを…メンタルヘルスにおける音楽の力

ヘッドホン

あなたには、好きな音楽はありますか?

お気に入りの音楽を聴いていると、どことなく心が癒されるような感覚になりますよね。

音楽にリラックス効果があることはなんとなく知っている人も多いかもしれませんが、実はストレス解消に効果的と言われているマインドフルネス(=今この瞬間を大切にする生き方)とも相性が良いことがわかっています。
(※参照:マインドフルネスってなに?―ストレスから心を守ろう

ストレスケアやメンタルヘルスにおいて、マインドフルネスと音楽がどのような関係にあり、どういった効果をもたらせてくれるのでしょうか?

メンタルヘルスにおいて期待されている「音楽療法」とは

音楽は精神治療のひとつとされていて、音楽療法という手法があります。
音楽療法は主に「能動的音楽療法」と「受容的音楽療法」の2つに分けられ、前者は楽器を演奏したり歌ったりすることで精神的なバランスを整えるものであり、後者は音楽を聴くことにより心を落ち着かせるものです。

音楽療法の主流は能動的音楽療法で、世界的にも文献数や学会での発表などが多く、研究者たちにとって能動的音楽療法への注目度は高いようです。

しかし、楽器演奏や歌唱といった自己表現には少なからず覚悟がいり、それ事態がストレスとなってしまう可能性も否めません。もちろん全ての人がそうだとは限りませんが、おそらく多くの人たちにとって能動的音楽療法はハードルが高いものなのではないでしょうか。

それに比べて、受容的音楽療法はある種受け身な手法であり、聴くだけで効果が表れるという点において受け入れられやすい手法と言えるでしょう。

そんな受容的音楽療法には、「マインドフルネス瞑想」と共通点があるのです。

音楽を聞くとマインドフルネス瞑想がしやすい?

マインドフルネス瞑想とは、たとえば自分の呼吸や手の上に乗せたキャンディなど、わずかな刺激に注意を向ける瞑想のことです。それによって雑念やネガティブ思考から距離をとり、心の状態を安定させることを主な目的としています。

マインドフルネス瞑想の考え方として、よく「気づき」「あるがまま」「とらわれない」という3つのキーワードが使われています。
自分の内面に気づき、あるがままの自分を受け入れ、何事にもとらわれないというのがマインドフルネスの根本的な姿勢なのですが、受容的音楽療法にもこの考え方が当てはまります。

音楽を聴いている側は、ストップボタンで止めない限り、基本的には曲や演奏に身を委ねるしかありません。音楽に対する感じ方や体験の仕方を自分から変えればいいということに「気づき」、流れてくる音楽を「ありのまま」受け入れるのです。

また、音楽を聞くことによってマインドフルネス瞑想の効果が上がることがわかっています。

というのも、音楽を聴きながらマインドフルネス瞑想を行うことで雑念が入りづらく呼吸に集中しやすくなり、よりリラックスやストレス軽減につながるためです。

音楽の中でも、自然の音などが取り入れられているものや、ゆったりとしたテンポで歌詞の入っていないものなどがいいそうです。早いテンポの音楽は脳を刺激しやすく、また歌詞が入っていると呼吸に集中しづらいため、落ち着いた曲調の音楽を選ぶといいでしょう。

マインドフルネスにオススメの音楽

では、具体的にどんな音楽がマインドフルネス瞑想に効果的なのでしょうか?

前出の内容も含め、オススメの要素を4つ挙げてみました。

  • 落ち着いた曲で歌詞が入っていない
  • 自分が聴いていてリラックスできる音楽
  • 爽やかな自然音が取り入れられている
  • フレッシュで希望に満ち溢れたメロディ

これらの要素をもつ音楽を聞くと、脳内でリラックスを誘うアルファ派が出やすくなると言われています。

中でも、「ヒーリング音楽」と「1/fゆらぎを含む音楽」は、上記の要素を含むオススメの音楽です。

レコードを流す

1、ヒーリング音楽

クラシックやジャズなど、穏やかで美しいメロディが多いヒーリング音楽。

ヒーリング音楽には鎮静作用があることがわかっています。 医療機関によっては、ヒーリング音楽を利用することで麻酔の量を減らし、患者への負担を軽減できているところもあるそうです。また、学校でヒーリング音楽を流すことによって、 生徒たちの集中力が向上したという報告もあります。

ヒーリング音楽は脳に作用し、ストレスホルモンを減少させます。医療機関や学校以外でも、ヨガやピラティス、エステなどで積極的に使われており、リラックス空間をつくるためにはヒーリング音楽は欠かせない要素と言っても過言ではありません。

自ら心を落ち着かせるマインドフルネス瞑想において、ヒーリング音楽は大きな助けになると言えるでしょう。

2、1/fゆらぎを含む音楽

「1/fゆらぎ」とは、身体の心拍や呼吸、体温の変化と同じリズムのものです。主に雨音や焚き火の音などがそれに当たります。生体リズムが「1/fゆらぎ」に相当するため、人は似たようなリズムのものを快適に感じるそうです。

日本の物理学者の研究においても、自然界の1/fゆらぎの音がリラクゼーション効果をもたらすことがわかっています。

このように、生体リズムと共鳴することで自律神経が整えられ、 精神が安定し、 活力が湧くと考えられている1/fゆらぎは、マインドフルネス瞑想を効果的に行う一助となるのです。
(※1/fゆらぎについては別記事参照:「癒されたいってどういうこと?変わりゆく癒しの概念」

音楽でより良いメンタルケアを

夕日バックに音楽を奏でる男女

日常生活を送る上で、音楽は身近にある存在です。

自分の好きな音楽を聴いている人も、普段あまり音楽を聴かない人も、上記に述べたような音楽を聴くことで心が癒されることもあるはずです。

恐怖や不安などからの解放やリラックス効果など、メンタルヘルス向上にも期待される音楽。

ちょっとした時間にでも、耳を傾けてみるといいかもしれませんよ。


Image:Unsplash
Source:
【受動的音楽擦法の意義ーマインドフルネスの視点からー】
菌吉知子(人前科学研究終教授)
十珂治幸(十全第ご病院)