「今すぐにでもストレスを解消したい!」

あなたもそう思ったことはありませんか?

ストレス社会である現代において、すみやかにストレスを解消することは大切です。

今回は、ポジティブな効果が科学的に実証されていて、手軽に実践できるストレスケアのテクニックを紹介します。その名も「メンタル・サブトラクティング」です。

いい思い出をなかったことにする?

足元にばらまかれた写真

サブトラクティングとは「差し引く」というような意味で、楽しかったことや嬉しかったことなどのポジティブな出来事を思い出し、もしその良い出来事がなかったら?と想像することで、ポジティブな出来事を際立たせるのがメンタル・サブトラクティングです。

ポジティブな出来事は何でもよく、
「試験に受かった」
「道で100円拾った」
「恋人ができた」
など、日常の些細なことから人生の転機となる出来事まで何でも構いません。もしそれでも出てこなければ、「今日も生きている」ぐらい根本的なことでもいいでしょう。

そのどれか一つをなかったものとして考えてみるのです。
これを一回3~5分くらいで2週間ほど続けると効果的なので、まずは3分を目安に実践してみるといいのではないでしょうか。

人は「何かを得る喜び」よりも「何かを失う苦しみ」を強く感じる

写真にまぎれて顔を覆う女

メンタル・サブトラクティングが効果的なのは、人は「何かを得る喜び」よりも「何かを失う苦しみ」を強く感じる生き物だからだと考えられています。専門的にはこれを「損失回避バイアス」と呼んでいます。

たとえば、人は90%の確率で1000円をもらえるよりも、確実に900円をもらえる方を選ぶ傾向にあることがわかっています。どちらも期待値は同じですが、10%の損を嫌ってしまうわけです。

メンタル・サブトラクティングの理屈もこれと同じです。
過去のポジティブな出来事を思い浮かべ、それがまるでなかったかのように振る舞うことで、ポジティブな出来事を失ったことへの悲しみを強く感じます。そうすることでポジティブな出来事の重要性を再認識し、その出来事への感謝の気持ちを持てるようになるのです。

アメリカのバージニア大学の学生を対象にした実験では、メンタル・サブトラクティングを行った被験者の多くはストレスに強くなり、研究後1カ月が過ぎてもポジティブな気分をキープし続けたことが分かっています。

慣れないうちは難しいかもしれませんが、ネガティブな気分を引きずってしまう人にとっては「メンタル・サブトラクティング」は有意義なストレス解消法と言えるのです。

メンタルケアのためにも「コーピング」を

外の空気を吸う女

メンタル・サブトラクティングは特に道具を使うことなくできるので、場所や状況を選ばないという利点もあります。 日々の生活の中で、ちょっと気分が沈んだりネガティブな気持ちになった際にはぜひ試してみてください。

ストレスを速やかにケアするために重要なのは、自身で何かしらのストレス解消法をもっておくことです。これは「ストレス・コーピング」と言って、メンタルヘルスを正常に保つ上で有効です。

また、今はスマホアプリでメンタルヘルスをケアできる時代です。AIロボと会話しながら心を落ち着かせ、感情を記録することで自身を客観的に見ることができます。ぜひ一度「AIカウンセリング」を試してみてください。
SELF MIND

「メンタル・サブトラクティング」以外にも、手軽にできるストレスケア・テクニックは他にもたくさんあります。自分に合う方法を事前に知っておき、ストレスを感じた時に実践することが、健全で快適な生活を過ごすカギとなるはずです。

Image:Unsplash
Source:
Minkyung Koo, Sara B. Algoe, Timothy D. Wilson, and Daniel T. Gilbert
「It’s a Wonderful Life: Mentally Subtracting Positive Events Improves People’s Affective States, Contrary to Their Affective Forecasts」

著者情報

SELF

北里大学医療衛生学部出身の医療系ライターを筆頭に、精神衛生やメンタルケアに特化した記事を得意とする。学術論文に基づいた記事を多く手掛けている。

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