• 「自分を客観的に見よう」

誰かにこんなことを言われたことはありませんか?

自分を客観的に見ることで、今の自分がどういう状態なのかを冷静に把握することができます。しかし、頭ではわかっていても実際にどうすればいいのか、正直なところよくわからないという人も多いのではないでしょうか。

そこで!
科学的にポジティブな効果が実証されていて、なおかつ手軽にできるストレスケアを紹介します。その名も「フライ・オン・ザ・ウォール」です。

壁にとまったハエになる

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この方法は、怒りを感じた時や、イライラを抑えたい時に有効です。

道具や複雑な手順は必要ありません。ただ何かイヤなことが起こった時に、「自分は壁にとまったハエだ」とイメージするだけです。

言葉で説明すると陳腐に感じるかもしれませんが、このテクニックはアメリカのオハイオ大学が行った実験によって効果が実証されているのです。

フライオンザウォール03
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実験では、このテクニックを実践したグループの怒りのレベルが大きく低下し、行った作業の成績が30%改善しました。

このテクニックにおいて重要なのは、自分を外側から見る視点を作り出すこと。

そうすることで、現在の体験と感情との間に距離が生まれ、ネガティブな思考に流されにくくなるのです。つまり、イメージすることはハエの視点である必要はなく、「空に浮いている雲」や「監視カメラ」であっても同様の効果が期待できます。

目の前の事実を俯瞰することが重要

自分の足元を見ている
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人は怒りやイライラを引き起こすネガティブな事象を認識した時、どうしても目の前の体験に意識が集中し、その状況を冷静に、客観的に把握することが難しくなってしまいます。ひとたびそうなってしまうと、激しい感情が冷静な思考を阻害し、ストレスを感じる状況からなかなか抜け出せなくなってしまいます。

自分の目の前にある状況を外側から見る視点を作り出すことで、事実を客観的に把握し、感情をクールダウンさせることができると考えられます。

フライオンザウォール 02
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フライ・オン・ザ・ウォールのテクニックは、自分のイメージだけで完結することから、非常に手軽なストレスケアの手法といえるでしょう。

道具を使うことも、声を出すことも、特別な動作をすることも必要ありません。仕事中や誰かと話してる最中、自分がストレスを感じていることを気づかれたくない状況であっても実践できる、非常に有効なテクニックです。

フライ・オン・ザ・ウォールでポジティブに

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ネガティブ思考から脱却できる可能性のあるフライ・オン・ザ・ウォール。日々の生活の中で、ちょっとした怒りやイライラを感じた時に、ぜひ試してみてください。

ストレスを速やかにケアするために重要なのは、自身で何かしらのストレス解消法をもっておくことです。これはストレス・コーピングと言って、メンタルヘルスを正常に保つ上で有効です。

また、今はスマホアプリでメンタルヘルスをケアできる時代です。AIロボと会話しながら心を落ち着かせ、感情を記録することで自身を客観的に見ることができます。ぜひ一度「AIカウンセリング」を試してみてください。
SELF MIND

ちなみに、ネガティブ思考で悩んでいる人は自動思考を身につけることをおすすめします。ネガティブ思考からポジティブ思考になることができるので必見ですよ。

Source:

Dominik Mischkowskia , Ethan Krossb , and Brad J. Bushman
Flies on the wall are less aggressive:Self-distancing “in the heat of the moment” reduces aggressive thoughts, angry feelings and aggressive behavior(Journal of Experimental Social Psychology Volume 48, Issue 5, September 2012, Pages 1187-1191)

著者情報

SELF

北里大学医療衛生学部出身の医療系ライターを筆頭に、精神衛生やメンタルケアに特化した記事を得意とする。学術論文に基づいた記事を多く手掛けている。

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