- 「忙しくってつい朝ごはんを抜いてしまいがち」
- 「朝はダルくてなにも食べる気がしない」
そんな人はちょっと待ってください。
実は朝ごはんは、お腹を満たすだけでなく、健康やメンタルにも影響を与えるということがわかっています。朝ごはんのメリットや時間がないときにサクッと食べられるオススメの朝食を紹介します。
20代男性の3人に1人は朝ごはんを食べない?

厚生労働省が2020年3月に発表した「平成30年国民健康・栄養調査」によると、全体で11.1%の人が朝食をとらないという結果になりました。その内、男性が13.9%、女性が8.6%と男性の方がより朝ごはんを食べていないようです。
細かく年代別でみると、若い世代ほど朝食を抜いている傾向がわかります。
20代の朝食欠食率は24.3%と、およそ4人に1人は朝ごはんを食べていないということになります。20代〜30代の男性に至っては、およそ3人に1人が食べていないようです。
生活リズムを整える朝食のチカラ

朝食には、生活のリズムを整える効果があることを示す研究があります。この研究では、朝食を「毎日食べる」「ときどき食べる」「ほとんど食べない」「全く食べない」の4グループに分けて、生活満足度と抑うつの度合いに関して調査が行われました。
調査の結果、朝食を「毎日食べる」と回答をしたグループが最も生活満足度が高く、また抑うつの度合いが低いことがわかりました。そして興味深いことに「毎日食べる」グループの次に抑うつの度合いが低かったのは「全く食べない」グループだったのです。
朝ごはんを「時々食べる」のはよくない?

なぜ「ときどき食べる」などのグループより「全く食べない」方が抑うつの度合いが低かったのでしょう。それには生活の規則性が関係していると考えられます。
朝ごはんを毎日食べている人と全く食べない人は規則的であるという点で一致しています。一方「ときどき食べる」などの不規則な朝食は、食事の面から生活のリズムを乱し、メンタルに影響を与えている可能性があります。
つまり、朝ごはんを毎日食べるという習慣には、生活のリズムを整えるペースメーカーとしての役割があると言えそうです。
朝食の習慣が生活習慣病を予防する

朝食と生活習慣との関係を調べた研究では、以下の項目について朝ごはんを毎日食べる習慣との関連が認められました。
- 間食を控える
- 運動の習慣がある
- 喫煙しない
- 睡眠による休養がとれている
また1996年、厚生労働省が成人病を生活習慣病と改称するにあたってとりまとめた「生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について」という答申の中で、健康に生活を送るための7つの健康習慣を提案しています。
1)適正な睡眠時間
2)喫煙をしない
3)適正体重を維持する
4)過度の飲酒をしない
5)定期的にかなり激しいスポーツをする
6)朝食を毎日食べる
7)間食をしない
出典:【厚生労働省】生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について
お気づきでしょうか。
「朝食を毎日食べる」はもとより、先ほど紹介した「間食」「運動習慣」「喫煙しない」「睡眠」といった項目が、生活習慣病を予防する7つの健康習慣と関連を有しています。
朝食を習慣化することは、単にお腹を満たすためだけでなく、他の健康習慣を整えることにも繋がります。朝ごはんは健康への第一歩であるとも考えられそうです。
朝のヨーグルトで「幸せホルモン」を促進

そう言われても、すぐに朝ごはんを習慣にするというのはなかなか難しいですよね。
そこで、忙しい朝でも手軽に食べられるオススメの朝食を紹介します。それはズバリ、ヨーグルトや牛乳といった乳製品。朝食時に乳製品に含まれるトリプトファンという成分を摂取することで、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンの合成が促進されることがわかっています。
大学生を対象に、1ヶ月間朝食時にヨーグルトを摂取した実験では、睡眠の質が改善され、また不安や抑うつの軽減にも効果がみられました。
ヨーグルトなら、食欲がないときや忙しい朝でも食べやすいですよね。
- 「時間がなくて朝ごはんどころではない」
- 「朝は食欲がない」
そんなときもあるかと思いますが、心身の健康管理の一環として、朝のヨーグルトを習慣にしてみてはいかがでしょうか。
source:
「平成30年国民健康・栄養調査」(厚生労働省 2020)
西 基、三宅 浩次
「朝食摂取と勤労者のメンタルヘルス」(北海道医療大学看護福祉学部学会誌(2008))
中居 宏充、友清 雅子
「朝食欠食に関連する因子について」(日本食育学会誌(2010))
川崎 茜、興梠 誉利子、田中 秀樹
「朝食時の牛乳・乳製品の摂取が睡眠健康、抑うつ、不安軽減に与える効果」(日本心理学会第79回大会(2015))