「セルフトーク」には癒し効果がある

胸に手を当てている女性
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あなたは普段、独り言を言いますか?

人は、無意識に自分に語りかける「セルフトーク(自己対話)」をする習慣があります。「大丈夫!」と自分を励ましてみたり、「あぁ、自分はなんてダメなんだ」と卑下してみたり、心の中で無意識に語りかけてしてしまうのです。

そういった内なる声は、日常の様々な場面で知らずと役立っています。

  • 自分を励ます
  • 計画を立てる
  • 問題を解決へ導く
  • 懐疑的思考を凝らす

仕事中やプライベート、はたまた旅行でリフレッシュしているときでも、自分を見つめ直す瞬間というのは訪れます。その瞬間全てに「セルフトーク」は活用されているのです。

夜空を見上げる人
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セルフトークで話しかけている相手(自分自身)は、自己肯定感そのものを表すと言われています。また、幼い頃に周りからどのように接してこられたかがセルフトークの仕方に反映されるのです。

最近、自分に語りかけた言葉はどのような内容だったでしょうか?
ポジティブに応援する声でしたか?
それとも、自分を批判する声でしたか?

セルフトークを活用することによって、ステレスへの耐久性を上げたり、よりポジティブなメンタルに自分を持ち上げていくことができるのです。

セルフトークにおける「ポジティブ」と「ネガティブ」

・ネガティブなセルフトーク

ピンクの床でしゃがみこんでいる女性
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ネガティブな内容のセルフトークが増えれば、疑心が強く、自己肯定感の低い心になっていきます。これは高いストレス、不安、抑うつ、羞恥心へもつながります。アメリカ国立衛生研究所の研究によると、自己批判をするごとに身体がストレス反応を起こすことがわかっています。

もし自己批判が習慣になっている場合、自己批判していることに気づくのは難しいかもしれません。しかし、セルフトークの内容をよく観察することで、自分がネガティブに陥りやすいポイントに気付くことができます。今いる環境に目を向けたり、周囲とのコミュニケーションにアンテナを張ってみたりすることで、自分が何に反応しやすいのかを注視するのです。

ネガティブな傾向になりやすい要因がわかれば、心の準備や改善方法をうまく見出すことができます。ネガティブ要因を作り出しているものを全て取り除けることもあるかもしれません。

普段の生活でストレスを感じたら、まずはストレスに気付き、立ち止まって、自分が今どんなセルフトークをしようとしているのか注目してみるといいでしょう。もしネガティブなセルフトークに気付いたら、ネガティブな内容に影響される前に、体験をポジティブな視点から見つめ直してみましょう。考え方を変えるのは簡単ではありませんが、経験を重ねることで誰でもネガティブで毒性のある考え方から抜け出すことができるのです。

・ポジティブなセルフトーク

笑っている女性
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逆に、ポジティブなセルフトークを増やすことによってやる気やパフォーマンス、メンタルヘルスが向上します。楽観的に物事を捉えながら自分を励ますことができると、問題解決できるようになり、常識にとらわれない考え方や困難な状況でもストレスに耐えうる精神が備わってきます。さらには、ストレスや不安によって引き起こされる身体へのネガティブ反応も軽減できるのです。

カナダの大学でセルフトークの効果を検証した結果、ネガティブな思考はポジティブに言い直していくことが重要だと結論づけられています。脳内を耐えずポジティブで励ましのある内容で埋め尽くしていくと、自分だけでなく、他人に対する見方を変えていくこともできます。自己啓発の分野でも、ポジティブ思考が大事だという理由にはこのような裏付けがあるのです。

セルフトークをする際、心の中のポジティブな内容のボリュームを上げてみたり頻度を増やすとより効果的です。私たちが日頃使っている言葉や思考は、普段からまわりの人や環境に大きく影響を受けています。周りにいるポジティブ思考な人と過ごす時間を増やすことで自分自身をポジティブに染めていくのです。

ネガティブな言動をポジティブなものに変えられるように意識していくことが大切です。自分を応援し、支えていける存在は自分自身なのです。

「セカンドパーソン」とはいったい何?

夜空を見上げる人
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ポジティブ思考を実践していく上で、最初は無理にポジティブにしようとするのは難しいかもしれません。「自分は現実主義者だ」と思う人ほどネガティブなことから目を背け、抵抗感を感じる傾向にあります。

しかし、ポジティブ思考を駆使しなくてもできる建設的なアプローチ法があります。

2014年、アメリカのミシガン大学で行われたセルフトークの仕方と効果についての実験では、被験者全員にスピーチを行うように言い渡し、スピーチの準備をしている間のセルフトークで使う「代名詞の違い」でグループ分けをしました。

その結果、内容がポジティブ・ネガティブであるというよりも、話し方や「代名詞」の使い方が重要であることが判明したのです。中でも、「セカンドパーソン(二人称)」を使ったセルフトークを実践したグループの被験者たちは、スピーチ後に感じるストレスや後悔、恥ずかしさといった感情が軽く済んだという結果が出ています。

つまり、セルフトークに使う代名詞を変えるだけで、ストレス状況下でも上手に感情、思考、行動をコントロールしていくことができるのです。

自分との会話の視点を変えてみよう!
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セカンドパーソン・セルフトークのやり方

自分の代名詞を変える

ここからは具体的なやり方です。

「一人称」「二人称」「三人称」と、自分の代名詞(主語)を変えて自分自身に話しかけてみましょう。たとえば以下のようなセルフトークになります。

ファーストパーソン(一人称)

A.「試験の準備しなくちゃ。私ったらなんでまだ始めてもいないの?」
B.「私は緊張なんかしていない。みんなに理解してもらえるように、今からゆっくりと話をしよう」

セカンドパーソン(二人称)

A.「君、試験の準備した方がいいよ。なんでまだ始められていないのかな?」
B.「緊張なんかする必要ないよ。みんなが君を理解できるようにゆっくり話した方がいいんじゃないかな。」

サードパーソン(三人称)

A.「彼、試験の準備した方がいいよね。なんでまだ始めていないんだろう?」
B.「彼、緊張する必要なんかないのにね。みんなが理解できるように、彼はゆっくり話した方がいい」

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このように、同じ内容を伝えているにもかかわらず、代名詞を変えることで自分の視点が変わり、受け取る印象にも違いが出ます。

ファーストパーソンAの「私ったらなんでまだ始めてもいないの?」は批判的に聞こえます。逆にセカンドパーソンの代名詞を使って同じ質問をすると、友達に問いかけるように質問することができます。しかし、サードパーソンまでいくと、同じ質問でも少し距離を感じるような問いかけになります。

科学的には、セカンドパーソンによる自己対話や内面視が、問題と自己との距離バランスを保つ上で最も効果的であると言われています。

自分自身との距離を保つことが大事

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人は、何か問題が起きて感情的になっているとき、無意識にファーストパーソンの代名詞になりがちです。

しかし、代名詞を変えるだけで健康的な「自分自身との距離」をつくることができます。この距離をつくるには、セカンドパーソンかサードパーソンの代名詞を使うといいでしょう。ちなみに、サードパーソンを使ったセルフトークは、脳では他の人と会話しているかのように認識されることがわかっています。

自己との距離
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自分との距離を保つ3つのメリット

  1. 不安な気持ちをコントロールしやすくなる
  2. 困難な状況下での脅威を減らし、困難をチャレンジという視点に切り替えられる
  3. 自分への後押しとなり、良いパフォーマンスの手助けができる

自分との距離を保つ5つの方法

  1. 感情的にならないよう、代名詞を変えてセルフトークをする
  2. 困っている友達を助けるような気持ちで、親身に、励ますよう自分に語りかける
  3. 自分の感情を否定せずに肯定し、自分へ建設的なアドバイスを送る
  4. 最終的な目標をしっかりと意識して、今ある問題から自分を引き離す
  5. 日記をつけ、自分の感情や状況を客観視する

「独り言」をストレスケアに役立てよう!

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このように、脳内で簡単にできるセルフトークは他の作業をしながらでも手軽に実践することができます。身一つですぐにでも始められ、短期的にストレス解消ができるので、日頃のメンタルケアにおいても実用的と言えるでしょう。

また、今はスマホアプリでメンタルヘルスをケアできる時代です。AIロボと会話しながら心を落ち着かせ、感情を記録することで自身を客観的に見ることができます。ぜひ一度「AIカウンセリング」を試してみてください。
SELF MIND

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人生で一番よく聞く声というのは他ならぬ自分自身の声です。

あなたは自分が成長するような問いかけをしていますか?
それとも成長を妨げるような自己対話をしていますか?

自分自身が自分の最高の応援団となれるよう、日頃から意識してみるといいのではないでしょうか。

Source:

Cascio, C. N., O’Donnell, M. B., Tinney, F. J., Lieberman, M. D., Taylor, S. E., Strecher, V. J., & Falk, E. B. (2015). Self-affirmation activates brain systems associated with self-related processing and reward and is reinforced by future orientation. Social Cognitive and Affective Neuroscience11(4), 621–629. https://doi.org/10.1093/scan/nsv136


Chopra, K. (2012). Impact of positive self-talk. University of Lethbridge Research Repository. https://hdl.handle.net/10133/3202


Gruen, R. J., Silva, R., Ehrlich, J., Schweitzer, J. W., & Friedhoff, A. J. (1997). Vulnerability to Stress: Self-Criticism and Stress-Induced Changes In Biochemistry. Journal of Personality65(1), 33–47. https://doi.org/10.1111/j.1467-6494.1997.tb00528.x


Holland, K. (2018, October 17). Positive Self-Talk: How Talking to Yourself Is a Good Thing. Healthline. https://www.healthline.com/health/positive-self-talk


Kross, E., Bruehlman-Senecal, E., Park, J., Burson, A., Dougherty, A., Shablack, H., Bremner, R., Moser, J., & Ayduk, O. (2014). Self-talk as a regulatory mechanism: How you do it matters. Journal of Personality and Social Psychology106(2), 304–324. https://doi.org/10.1037/a0035173


Rawlings, R. (2019, May 7). The Connection Between Self-Talk and Wellbeing – Mind Cafe. Medium. https://medium.com/mind-cafe/what-self-talk-has-to-say-about-mental-health-d87a22ca0848

著者情報

SELF

北里大学医療衛生学部出身の医療系ライターを筆頭に、精神衛生やメンタルケアに特化した記事を得意とする。学術論文に基づいた記事を多く手掛けている。

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