眠れない夜を変える!「睡眠スケジュール法」で不眠を克服

時計

「眠りたいのに眠れない」
「夜中に何度も目が覚めてしまう」
「朝起きた時に眠れた実感がない」

睡眠に関する悩みは、現代において多くの人が抱えている問題です。
睡眠は、私たちの心と体の調子を整える重要な健康行動であるため、眠れないことによってもたらされる心身への影響は計り知れません。
一度乱れた睡眠習慣を改善し、健康的な眠りを取り戻すにはどうすればいいのでしょう。眠れない夜が続くと、睡眠自体に苦手意識や不安を感じてしまい、どうにかして眠ろうと躍起になってしまうこともあるかもしれません。

しかし、睡眠とは人間のカラダが自然と求める生理現象なので、「どうにかして眠ろう」という意志のチカラで眠れるものではありません。眠れない夜から抜け出すためには、カラダや脳をできるだけ自然な形で「睡眠」へと導いてあげることが大切なのです。
今回は、慢性的な不眠症に対する認知行動療法のアプローチ「睡眠スケジュール法」を紹介します。

まずは「不眠」の基本を押さえよう

一般的に、「不眠症」とは満足な睡眠がとれない状態が一ヶ月以上続き、日中に倦怠感・意欲低下・集中力低下・食欲不振などの不調があらわれる状態のことを言います。不眠症の原因は、日々のストレスや心身の病気、薬の副作用など様々です。

健康を維持するために必要となる睡眠時間は人によって様々で、8時間眠っても日中に不調があらわれる人もいれば、3時間程度の睡眠で問題なく生活できる人もいます。
また、人間は加齢に伴って、必要とする睡眠時間が短くなるということがわかっています。つまり、高齢者が若い人と比べて眠れないというのは、ごく自然なことといえます。
不眠を訴える人の中には「周りの人と比べて睡眠時間が短い」「若い頃と比べて長く眠れなくなった」という悩みを抱えている人も多いようですが、そういった状態にあるからといって「不眠症」であるということにはなりません。
不眠について、詳しくは下の記事をご覧ください。

眠れない夜が続き、満足な睡眠がとれていないと感じると、少しでも睡眠をとろうとしてできるだけ長く寝床(ベッドや布団の上など)で過ごそうとする人が多くいます。
しかしその行動によって、本来「眠るための場所」として条件づけられていた寝床が「眠れない場所」もしくは「活動する場所」として脳にインプットされてしまい、ますます眠れない状態に陥ってしまうことがあります。

睡眠スケジュール法の目的は「寝床は眠るためだけの場所」と脳に再認識させることです。
そのためには、
・眠くなるまでは寝床以外の場所で過ごすこと
・自然と眠くなるまでは眠ろうとしないこと

・眠れないときは寝床から出ること
以上のことが重要になります。

スケジュール

睡眠スケジュール法とは

睡眠スケジュール法は、あくまでも不眠によって日中に不調があらわれる状態が長期間続いている場合に有効なアプローチです。
不眠症ではない人が行うと、逆に睡眠のリズムを乱してしまう恐れがありますので、注意しましょう。

①睡眠効率を把握する

睡眠スケジュール法を行うためには、まず自らの睡眠習慣を正しく把握することが重要です。
自分が眠ろうと思って寝床に入ってから、眠れない時間が実際にどのくらいあるのか、また翌朝起床した際に、何時間眠れたと感じているかを把握しましょう。「睡眠日誌」を作って、毎日記録をつけるようにすると効果的です。
自分の睡眠習慣を把握したら、そこから睡眠効率(寝床で過ごす時間における睡眠時間の割合)を計算しましょう。
睡眠効率の計算方法は下記のとおりです。

睡眠効率

たとえば、22時に寝床に入り、翌朝8時に起床した場合、寝床で過ごした時間は10時間となります。そのうち実際に眠れたと感じる時間が6時間である場合、睡眠効率は60%ということになります。
この睡眠効率が一週間の平均で85%以上になることを目指します。

②就床時間を遅くして、睡眠効率を高める

睡眠効率を把握したら、一週間の平均の睡眠効率85%に近づけるため、寝床に入る時間(就床時間)を実際に眠れている時間の15〜30分前に調整します。上の例のように眠れる時間が6時間で、朝8時に起床するという場合は、午前1時30分〜45分に寝床に入るようにします。その時間になるまでは、できるだけ寝室以外の場所で過ごし、寝室や寝床は「眠るためだけの場所」ということを身体と脳に条件づけます。

睡眠スケジュール法

③徐々に睡眠時間を長くする

一週間の平均睡眠効率が85%を超えたら、就床時間を15分早くするか起床時間を15分遅くして、徐々に眠れる時間を長くしていき、日中に不調が出ない程度の睡眠時間を目指しましょう。この方法では、一時的に「遅寝早起き」となってしまいますが、寝床で起きている時間を短くし、自身のカラダが一番「眠りやすい時間」に睡眠を集中することによって、主観的な睡眠に対する満足度を向上させることができます。


「睡眠スケジュール法」は不眠の改善に効果が期待できる方法ではありますが、不眠症の根本的な改善には、原因に応じた対処が必要となることもあります。特に心身の病気や薬の副作用が不眠の原因となっている場合は、専門の医師の指導に基づいた改善が必要です。まずは眠れない原因となっている事柄をしっかりと見極め、原因に応じた適切な対処を心がけましょう。

不眠症

良い眠りで充実した人生を!

睡眠は、人間が生命を維持するために必要不可欠な健康行動です。また、「人は一生の3分の1を睡眠に費やす」と言われるほど、人生の中で多くの時間を占めるものです。充実した睡眠習慣を持つことは、生涯を通して心身の健康を保ち、その人が持つ能力を存分に発揮したり、さらなる成長を遂げることに寄与するでしょう。

すでにカラダに染み付いている生活習慣を改変し、より良い睡眠習慣を身に付けることは、簡単なことではないかもしれません。
しかし、それを実現することによってこの先の自分の人生がより健康的で充実したものになると思えば、努力する価値は十分にあるのではないでしょうか。

Image:Unsplash
Source:
宗澤 岳史、三島 和夫
不眠症に対する認知行動療法」(精神保健研究 55:71-78,2009)
国立精神・神経医療研究センター
睡眠障害・睡眠問題に対する支援マニュアル