動物と触れ合う…ふわふわのペット動画や、雄大な自然の中で生きる野生動物に関するビデオを見る…。
疲れた時に、動物たちの力を借りて癒されるという方も多いはず。
今回は、スマホやゲーム機で気軽に触れることのできる、バーチャルな動物たちのメンタルケア効果についてお話します。
可愛い動物たちですが…
現在、アニマルセラピーという形で動物たちの癒しの効果を活用している施設が多数あります。
しかし、そこで問題となるのがアレルギーやペットロス。 身体症状や、永遠の別れはとても辛いものです。
これらを解消するために、昨今では動物型のロボットが活用されていることも。
みなさんも、可愛い犬型のロボットや、ふわふわのアザラシ型ロボットを見たことがあるかもしれません。 これらの動物型ロボットですが、価格設定が高かったり、メンテナンスの関係でちょっと手が出しにくい…という状況が起きたりします。
実は、スマホやゲーム機で楽しめるバーチャルペットでも同じ癒しのパワーが得られるのではないかという実験が行われています。
バーチャルペットの疲労感への効果
大学生の協力のもと、事前に参加者の気分や感情を測定した後に、4つのグループに分かれて下記の行為を行いました。
グループA:バーチャルペットと触れ合えるゲームソフトで遊ぶ
グループB:全く別の、パズルゲームなどで遊ぶ
グループC:美しい風景の動画を見る
グループD:静かな部屋でリラックスして過ごす
これらを行なった後に、気分や感情にどういった変化が起きたかを比較しました。
結果的に、バーチャルペットには、他グループより優れた疲労回復の効果が見られたのです。
能動的な働きかけが疲労感を回復させる
疲労感に関して、風景の動画より、バーチャルペットの方が良い結果が出た理由として、研究では「働きかけ」という行為にその理由があるのではないかと分析されています。
バーチャルペットは、画面の中の動物に対して呼びかけたりすることで、ペットの側からなんらかのリアクションが返ってきます。
一方、風景の動画を眺めるのは受動的な行為であり、参加者が何かを画面に対して働きかけることがありません。
ペットたちが、参加者のボタン操作などのアクションに対して反応することこそが、疲労感の回復につながっているようです。
失敗の起きない、ペットとの触れ合い
また他ゲームと、ペットと触れ合うゲームとの疲労感の違いは「不本意なことが起きない」というシステムから生じているようです。
パズルゲームやアクションゲームにおいては、あるノルマが課され、それが達成できなかったときにはゲームの失敗というネガティブな結果が起きます。
バーチャルペットと触れ合うゲームでは、画面の中の犬が自由に歩き回っている様子をただ眺めるだけでも良いという特性があり、この点が他ゲームよりも疲れないという結果に現れているのです。
昨今、動物たちと遊べるゲームがたくさんリリースされています。
忙しい毎日でも隙間時間に癒されたい、という方は、ぜひ画面の中の可愛い生き物たちと触れ合ってみてはいかがでしょうか。
Image:Unsplash
Source:
【バーチャル・ペットの癒し効果】
(佐藤 鑑永,木藤 恒夫 久留米大学心理学研究 第8号 2009)

AUTHOR
SELF
北里大学医療衛生学部出身の医療系ライターを筆頭に、精神衛生やメンタルケアに特化した記事を得意とする。学術論文に基づいた記事を多く手がけている。