不安軽減、集中力UP…「香り」の効果と目的別おすすめフレーバー

aroma

「プルースト効果」という現象をご存知でしょうか。

香りをきっかけに記憶や感情を呼び起こす現象のことで、マルセル・プルーストの小説『失われた時を求めて』の中で、主人公がマドレーヌの香りで過去を思い出すというシーンからそう名付けられています。

嗅覚は他の感覚とは異なり、感情を司る大脳辺縁系と直接結びついているため、感情を想起させやすいと言われています。そんな嗅覚の特徴がもたらす「香り」の効果について紹介します。

こころとからだを癒す香りの効果

香りで集中力をキープ

集中が要される場面で香りを利用すると効果的かもしれません。

香りによる覚醒効果を調べた研究では、単純な作業を行わせた被験者に香りをかがせたところ、その後の作業時間が短縮する傾向が現れました。このことは、単調な作業によって低下した集中力が、香りによって回復したものと考えられています。

さらに同じ実験では、実験中に強い眠気を催した被験者に対して、眠気を覚ます効果があったことも示されました。

この効果から、香りは自動車の運転中などにも有用だと考えられています。例えば高速道路など、変わり映えのない景色を淡々と運転していると眠くなりがちですよね。そんなときに香りを嗅ぐことで、疲れを回復し、眠気を覚ましてくれるため、居眠り運転の防止に効果が期待されています。

不安や生活の質を改善!香りで人生が豊かに

さらに香りには、メンタルヘルスの向上にも効果があることが認められています。

大学の学生相談室を利用する学生を対象に、一週間毎朝好きな香りを嗅いでもらうことで、生活の質やメンタル面での変化を調べた研究があります。

もともと学生相談室を利用する学生は、そうでない学生よりも、睡眠の質が悪く、運動量が少なく、不安感が強いなどの特性を持っており、メンタルや生活の質が低い傾向にあったそうです。

しかし実験の結果、これらの特性が改善され、相談室を利用しない学生との差がなくなるまでに変化したのです。香りを嗅ぐだけで生活全体の質までも改善されてしまうなんて、恐るべし香りのチカラですね…。

1日1回でなが〜く効く?

さて、先ほど紹介した大学生を対象にした実験で興味深いのは、香りの効果だけではありません。

実験の方法は、一週間毎朝好きな香りを嗅いでもらうことでした。ここでポイントなのは、1日1回朝に好きな匂いを嗅いでもらっただけなのに、様々な効果をもたらした点です。

アロマデフューザーを使ったりお香を焚いたりして、部屋中を好きな香りで満たすのもいいですが、意外と面倒だったり忘れてしまったりすることもありますよね…。

そんなときでも、小分けして持ち運べるアトマイザーなどに好きな香りのアロマを移しておいて、1日1回ちょっとした時に匂いを嗅ぐなどすれば、無理のない範囲で香りの効果を得られるのではないでしょうか。

目的別おすすめフレーバー

ストレスの軽減には柑橘系

柑橘系

レモンやグレープフルーツに代表されるような柑橘系の香りは、爽やかな気分にさせてくれますよね。 柑橘系の香りには、ストレスを軽減させたり気分を向上させる効果があることがわかっています。

単純な作業でストレスをかけた被験者にグレープフルーツの香りを提示したところ、STAIという不安の尺度を示す数値がストレスをかけられる前よりも減少しました(図1)。グレープフルーツが不安の軽減に効果をもたらしたものと考えられます。また同様に、リラックスの上昇にも効果があるとも示されました。

プレゼンや会議の前で緊張する…。そんなときは柑橘系の香りを嗅ぐことで、少しはリラックスした状態で臨めるかもしれませんね。

図1.香り提示によるSTAIの変化 出典:「精神負荷に対するグレープフルーツの香りの効果」

集中力を保つ、華やかなラベンダー

ラベンダー

集中力が続かない…そんなときにオススメしたいのがラベンダーです。

ラベンダーの香りを用いた研究では、作業量が増加し、ミスが減ったことが示されています。ラベンダーの香りには副交感神経の働きを活発にして、集中力を高める効果があると考えられています。

ちなみにラベンダーの香りは、濃度が低く香りが少ない場合でも効果がみられています。集中力が増すからといって、香りの強い香水をつけ過ぎて周囲のひんしゅくを買ってしまう…なんてことがないように注意が必要ですね。


Image:Unsplash
Source:
「香りの覚醒効果に関する生理心理学的研究」
(芳賀 繁、増田 貴之 44巻 Supplement 号(2008))

「大学生のメンタルヘルスにおける香りの効果の前向き研究(1)」
(吉川 弘明、足立 由美 日本心理学会第82回大会(2018))

「精神負荷に対するグレープフルーツの香りの効果」
(村松 仁、森 千鶴、永澤 悦伸、福澤 等 山梨医科大学紀要 17巻(2000))

「低濃度ラベンダーと注意維持の関係について」
(桑垣 彩乃、後藤 広太郎 北海道心理学研究 40巻(2017))