• 「イライラする」
  • 「怒りが収まらない」

そんな経験はありませんか?

怒りやイライラは、もっとも多く経験する感情と言われています。しかし、これらの感情は高血圧や心疾患の罹患率が高まることがわかっています。

心身の健康に悪影響を及ぼしかねない怒りの感情ですが、「マインドフルネス瞑想」によって気持ちをコントロールし、ストレスを軽減させられる可能性があるのです。

マインドフルネス瞑想とは?

草原で瞑想する女性
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マインドフルネスとは、簡単に言うと「集中している心の状態」のことです。

マインドフルネスは東洋の座禅やヨガなどの心身修養法と深い関係があり、アメリカではストレスや慢性的な心の痛みを低減するために「マインドフルネスストレス低減法」が考案されています。その中の一つとして「マインドフルネス瞑想」というプログラムがあり、マインドフルネスを促進する瞑想法が医療機関などでも実用化されています。

マインドフルネス瞑想は、たとえば自分の呼吸数を数えたりして特定の対象へ注意を向けていき、ネガティブ思考から距離を置くようにするという考えです。もし雑念が湧いてきても、それに気づいて何度も集中を戻していくというプロセスを重ねます。そうすることで思考をコントロールし、抑うつや不安障害の改善に効果が見込めるのです。

スティーブ・ジョブスも実践していたと言われていて、Appleでは瞑想やヨガの講習を社内で実施したり、職務時間内の30分を瞑想に当てています。他にもGoogleやIntel、Facebookなど多くの企業でマインドフルネス瞑想が取り入れられています。

脳をコントロールして怒りを鎮めよう

「怒り」とは、脳が自分を守ろうとして発動させる感情です。

過度なストレスがかかると、本能や感情をつかさどる扁桃体と呼ばれる部位が暴走し、思考をストップさせます。よく、怒ると善悪の判断がつかなくなり見境がなくなることがありますが、それはこれらの要因によるものです。

マインドフルネス瞑想を行えば、この扁桃体の暴走を止められるだけでなく、普段から怒りをコントロールしやすい脳に変えていくことができるのです。

日頃、何気なく生活していても、何がきっかけで怒るスイッチが入るかはわかりません。怒ってしまえば冷静な判断ができなくなり、集中力や注意力の低下に繋がります。また、上質なコミュニケーションが取れなくなることで二次災害的にトラブルが発生することも考えられるでしょう。

マインドフルネス瞑想によって普段から脳をコントロールしイライラを抑えることができれば、無用なトラブルを避けることができるのです。

マインドフルネス瞑想はリラクセーションにも効果的

山林の高台で瞑想ずる女性
出典:Unsplash.com

大学生を対象に、1週間マインドフルネス瞑想を行ってもらったところ、怒りの反すう傾向(過去にあった怒りを思い出すこと)は有意に低減し、実験の4週間後も低減し続けたそうです。

また、喚起されやすさ(イライラしやすいかどうか)や持続しやすさについても、実験期間前から4週間後のフォローアップにかけて低減したという報告もあります。

この2つの結果を受けて瞑想前後に気分の評定を求めたところ、多くの被験者が瞑想後の気分の高揚を示したそうです。これはつまり、マインドフルネス瞑想が一種のリラクセーションをもたらしたと言えるのではないでしょうか。

過度の怒りや攻撃行動を中長期的に制御するための技法として、マインドフルネス瞑想は有効性が高そうです。

イライラする時こそマインドフルネス瞑想を

イライラしたり、些細なことで怒ったりすることはきっと多くの人が経験しているのではないでしょうか。

感情を持続的にコントロールし、発生しうる怒りのレベルを最小限に抑えることができるマインドフルネス瞑想は、長い目で見れば効果的と言えます。

また、道具を使ったり場所を選んだりする必要はなく、宗教的な要素や精神論などもないため、誰でも気軽に取り組める手法です。怒りによってストレスを溜め込まないためにも、毎日少しずつ取り組んでみてはいかがでしょう。

また、マインドフルネス瞑想以外にもこういったストレス解消法は存在します。健康志向が叫ばれている昨今、メンタルヘルスを健全に保つ「AIカウンセリング」をご存知でしょうか?

AIロボがユーザーと会話をすることで状態を記録し、メンタルケアをしていくのです。人には言いにくい悩みも相談でき、時間や場所を選ばないので手軽にメンタルケアができるメリットがあります。ぜひ一度試してみてください。
SELF MIND

Source:

平野 美沙、湯川 進太郎(筑波大学)
【マインドフルネス瞑想の怒り低減効果に関する実験的検討】
心理学研究 2013 年 第 84 巻 第 2 号 pp. 93–102

著者情報

SELF

北里大学医療衛生学部出身の医療系ライターを筆頭に、精神衛生やメンタルケアに特化した記事を得意とする。学術論文に基づいた記事を多く手掛けている。

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