「今すぐにでもストレスを解消したい!」

そう思いながらも、どう対処していいかわからず、日々のストレスをなんとなくやり過ごしていませんか?

イライラや不安などのネガティブな感情からくるストレスを放置すると、やがて心身に深刻なストレス反応を引き起こし、場合によってはうつ病などの精神疾患に至ってしまうこともあります。そうならないためには、ストレスを感じた時、可能なかぎり速やかにそのストレスを解消することが重要となるのです。

今回は、メンタルヘルスへの効果が科学的に実証されていて、手軽に実践できるストレスケアのテクニックを紹介します。その名も「ポジティブ・メモリーズ」です。

たった14秒でストレスが消える?

アルバムにある写真の数々
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ポジティブ・メモリーズは、アメリカのラトガース大学が編み出した方法で、ストレスに対して即効性の高い対処法とされています。

そのやり方はきわめてシンプルで、過去の良い思い出を14秒間思い出すだけ。実験では、たったこれだけの方法で被験者の気分がだんだんよくなり、ストレスが低減したことがわかりました。

さらにこの実験では、ポジティブ・メモリーズを実践したグループのコルチゾールの分泌が抑制されたことがわかったのです。

コルチゾールはストレスホルモンとも呼ばれ、人が心身にストレスを感じた際に分泌されるホルモンの一種です。このホルモンの抑制が確認されたということは、ポジティブ・メモリーズを行うことが単に気分をよくするだけでなく、生理学的にもストレスを軽減する効果があると実証されたことになります

飾られた写真たち
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ポジティブ・メモリーズで思い出す過去の出来事は、自分がいい気分になるものならなんでも構いません。

仕事や趣味で成功した体験、楽しかった旅行、人に言われて嬉しかったことなど……自分にとってポジティブな思い出であれば、どんなことでも良いのです。

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良い思い出をストックしておこう

日々の生活の中で、ストレスを感じること自体は悪いことではありません。問題となるのは、受けたストレスに対処せず、そのまま放置してしまうことです。

先述したコルチゾールにしても、ストレスを感じて一時的に分泌量が増加することは普通の現象ですが、これを放置してしまうと、やがて心身に重大なストレス反応を引き起こしてしまうのです。

近年、メンタルヘルスに関心を寄せる人が増えたこともあり、ネット上などでは様々なメンタルケアの方法が紹介されています。中には、初心者には難易度の高いテクニックや、お金や時間をたくさん費やす必要があるものも多く、人によっては実践するハードルが高いと感じてしまうかもしれません。

一方、ポジティブ・メモリーズを行うのに必要なものは過去の良い思い出だけ。お金も特別なテクニックも必要ありません。しかも、たった14秒でストレスが低減するということが、科学的に証明されているのです。

引き出し
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強いイライラや不安を感じる状況においては、良い思い出を頭の中で思い浮かべるのが難しい場合もあるかもしれません。

そうなった時のために、日ごろから自分にとってポジティブな出来事を強く意識して、良い思い出をストックしておくようにしましょう。

  • ・ポジティブな出来事を日記やメモ帳などに書き残しておく
  • ・良い思い出を呼び起こす写真などのアイテムを常に持ち歩く

日頃からこのような工夫をしておくことで、良い思い出がより強く印象に残り、心に余裕がなくなったストレス状態においてもすみやかに思い出せるようになるでしょう。

思い出
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ネガティブ思考を捨ててポジティブに

短い時間でネガティブな感情を緩和できるポジティブ・メモリーズ。日々の生活の中で、イライラや不安などのストレスを感じた時に、ぜひ試してみてください。

ストレスを速やかにケアするために重要なのは、自身で何かしらのストレス解消法をもっておくことです。これは「ストレス・コーピング」と言って、メンタルヘルスを正常に保つ上で有効です。

また、今はスマホアプリでメンタルケアができる時代です。AIロボと会話しながら心を落ち着かせ、感情を記録することで自身を客観的に見ることができます。話せば話すほどユーザーを知り、より的確なカウンセリングを受けることができる「AIカウンセリング」をぜひ試してみてください。
SELF MIND

ポジティブ・メモリーズ以外にも、手軽にできるストレスケア・テクニックは他にもたくさんあります。自分に合う方法を事前に知っておき、ストレスを感じた時に実践することが、健全で快適な生活を過ごすカギとなるはずです。

Source:

Megan E. Speer,Mauricio R. Delgado
「Reminiscing about positive memories buffers acute stress responses」(Nat Hum Behav. 2017 May; 1(5): 0093)

著者情報

SELF

北里大学医療衛生学部出身の医療系ライターを筆頭に、精神衛生やメンタルケアに特化した記事を得意とする。学術論文に基づいた記事を多く手掛けている。

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