• 「ネット上で聞く“メンヘラ”ってどういう意味?」
  • 「自分は”アスペ”なのか気になる…」
  • 「”コミュ障”と言われたけど、自分に障害があるのか分からない…」

インターネットやSNSでは、特有の言葉・単語の言い回しがされることがあります。このように生まれた単語は「インターネットスラング(スラング…俗語)」と呼ばれており、流行語大賞にもノミネートされるほど日常的に使用されるものもあります。

一方、意味が分かりづらいインターネットスラングも一定数存在するので、「この言葉よく見るけど、どういう意味で、どうやって使われているのかが分からない」と感じる方も少なくないのではないでしょうか。

この記事では、インターネットスラングのうち、メンタル系の意味で使われるものに絞って解説します。

メンタルヘルススラングの解説一覧

女子大生を対象にした研究によると、メンタルヘルススラングの使用経験率は全体の73.4%と非常に高い割合となっており、それぞれ濃淡はあるものの多くの人に使用されている言葉となっています。

【うつだ死のう】

気分が落ち込んだ時に使用するスラングであり、「憂鬱」という言葉とほぼ同等の意味として使われています。

病気としてのうつ病まではいかないものの、それに近い心の状態を表すこともありますので、気軽に使われやすいネットスラングの一つです。

【アスペ】

アスペとは、実在する発達障がいである「アスペルガー症候群」の先頭の文字を取って呼称されているスラングです。

アスペルガー症候群の症状と同じく、「他人と円滑なコミュニケーションが取れない」「文章の理解が及ばない」「言葉の真意を汲み取れない」といった意味で用いられますが、特徴的なのは自称だけでなく、第三者を蔑む際に多用されるという点です。

「○○が分からないとかアスぺ?」であったり、「あいつはアスぺだから言葉が通じない」など、実際に使われる対象となる人がアスペルガー症候群でなくても使用されているため、本当に症状を持っている人の生きづらさを強めてしまう恐れがあるスラングの一つとなっています。

また、スラングとして多用されてしまっているため、ちょっとしたことでも自分はアスペルガー症候群なのではないかと感じ、来院する人も増えていると指摘されています。

【コミュ障】

コミュ障は「コミュニケーション障害」の略であり、第三者と上手くコミュニケーションが取れない・取りたくないという人を総称するスラングです。上述したアスぺと同じく、コミュニケーション障害も実在するメンタル障害の一つであり、その重度に関わらず用いられています。

コミュ障にも種類があり、コミュニケーションが苦手で人に関われないような人(ダウナー系)や、人の話を聞き入れずに自分の話だけを主張し続ける人(アッパー系)があります。他にも、言いたいことが言い表せなかったり、発言が極端に幼稚であったりすることもコミュ障と称されます。

【メンヘラ】

メンヘラは、元々インターネットの匿名掲示板でメンタルヘルスケアに関する投稿をしていた人を総称していましたが、現在では他人との繋がりに強い執着心を持っている人を指すスラングとして「メンヘラ」が使われることが多いようです。

強い繋がりの中でも特に恋愛に関する要素が強く、「この人に嫌われるなら自分が死ぬ」「恋人と仲良くする異性に対して攻撃的な対応を取る」といった要素がメンヘラと呼ばれる人の特徴です。

メンヘラは病気ではなく、ある意味個性を総称したものになります。アスぺやコミュ障などは元となる病気・症状が存在していますので、そういった意味ではメンヘラは異なったジャンルのスラングと言えるでしょう。

【メンブレ】

メンブレは、メンタルブレイクの略のことで、メンタル(精神)がブレイク(崩壊)している状態を指します。

人に怒られた時や、大学での講義疲れ、会社で仕事が上手くいかないなど、精神的に落ち込んでいる時にメンブレというスラングが使われますので、スラングとして使われるうつと同じような言葉となります。

【○○依存症】

アイドルグループ依存症やYouTube依存症など、何かに極端にのめり込んでいる状態のことを「(好きなものや事)+依存症」と表現するスラングがあります。

薬物やアルコールなど、治療が必要な依存症もありますが、スラングとして使われる症候群にはそのような治療が必要なものという意味はありません。

【子供部屋おじさん・おばさん】

子供部屋おじさん(おばさん)とは、成人してからも親元を離れずに実家の子供部屋で生活している人を蔑称するスラングです。

親元から離れられていないことから、精神的・社会的に自立できていないという点でネガティブに使われることが多いですが、ニートとは異なり、必ず無職ということではありません。

略語・俗語が使われる理由

ある調査によると、メンタルヘルススラングは調査母集団の7割の人が特別な理由が無く使っていると分かっています。

つまり、それぞれの言葉の意味や成り立ちを完全に理解することなく、ある意味雰囲気でスラングを発している人が多くいることになります。そのような人が、メンタルヘルススラングを使っている理由は、その言葉が現状を最も表現しやすいからという単純なものです。

例えば、「うつ」というスラングは、なんとなく気分が落ち込んだ時に使われていますが、本来のうつ病は、心にも身体にも様々な悪影響を与える治療の難しいメンタルの病気です。

このように、本来は慎重に使われるべきメンタルヘルスのワードは、スラングという形で特に深い意味は無く使われているのです。

言葉の意味を理解して正しく付き合っていこう

アルファベットのピースが散らばっている
出典:Unsplash.com

軽い気持ちで使用されているメンタルヘルススラングですが、状況や相手に応じて気をつけて使用しないと、思わぬところで人の気分を害してしまう恐れがあります。この記事で解説したスラングは少なくとも意味を正しく理解した上で、正しく付き合っていくようにしてください。

また、今はスマホアプリでメンタルヘルスをケアできる時代です。AIロボと会話しながら心を落ち着かせ、感情を記録することで自身を客観的に見ることができるので、ぜひ一度「AIカウンセリング」を試してみてください。
SELF MIND

Source:

松崎良美
“メンタルヘルス・スラング” を定義するー都内女子大生を対象とした横断研究よりー

著者情報

SELF

北里大学医療衛生学部出身の医療系ライターを筆頭に、精神衛生やメンタルケアに特化した記事を得意とする。学術論文に基づいた記事を多く手掛けている。

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