「理由は無いけど何故か今日は調子が悪い…」
「雨の日は何だか気分が優れない…」
「梅雨の時期は頭痛やめまいに悩まされる…」
メンタルは心理的な要因だけでなく、ある外的要因からも落ち込んでしまうことがあります。
それは「気圧の変化」です。
気圧の変化は気候に影響を与えるため、天気の変化とも言い換えられます。
この記事では、気圧の変化がメンタルに与える影響や、気候変動に負けないために試したいことについて解説します。
目次
気圧の変化がメンタルに与える影響

人類は恒温動物ですので、与えられた気圧の変化に順応しようとします。
この働きのことを「気候順応」といいますが、人によっては変化に順応できず、メンタル的なストレスを感じてしまう方も少なくありません。
メンタルに影響を受けることで生じる例として代表的なものが「うつ病」です。
うつ病は脳の機能を低下させ、自分を卑下する感覚に偏ってしまったり、注意力が散漫になってしまうといった特徴を持っています。
大学の研究によると、自殺件数や交通事故の多い時期には特徴があり、メンタルと気圧の変化には少なからず影響があるとされています。
メンタルに最も影響を与える季節は?
メンタルに強い影響を受け、自分ではどうしようもなく整理できない状況になってしまった方の中には、自分で命を絶ってしまう方もいます。
日本の自殺件数には、春から夏にかけてピークがあります。春から夏にあるものと言えば、梅雨の季節です。
梅雨においてメンタルが落ち込んでしまうのには3つの理由があると考えられます。
低気圧による閉塞感や神経への影響があるため
大学の研究によると、低気圧が自律神経(特に交感神経系)に対して強い影響をもたらし、結果としてうつ病を増強していると考えられています。
自律神経は、循環器や消化器、呼吸器といった臓器の活動を調整する役割を担う神経であり、興奮時や日中に働く交感神経と、安静時や睡眠時に働く副交感神経によって成り立っています。
自律神経が何らかの理由によって乱されてしまうと、自律神経失調症になり、頭痛やめまい、倦怠感や不眠などといった心身ともに不調が現れ、うつ病を引き起こしてしまう恐れがあります。
日照時間が短くなるため
フランスの社会学者であるエミール・デュルケームによると、日照時間が短いと他人とのコミュニケーションの機会が短くなってしまうことで、自殺発生を引き起こしやすくなってしまうと言われています。
梅雨の季節は晴れ間も少なく、積極的に外出するのにも腰が重くなってしまいます。
間接的に外とのコミュニケーションが遮断されてしまうこともあり、梅雨はメンタルに影響を与える季節とされています。
環境が変わる時期も重なるため
梅雨の季節である6月の前には、自分の周りの環境が変わるタイミングが幾つかあります。
1つ目は人間関係です。4月は人事異動やクラス替え、入社や入学といったイベントが多く、慣れ親しんでいた環境が変わりがちです。同僚や上司といった、周りの人間関係が変わると、慣れるまでは気を遣ってしまい、メンタルが落ち込んでしまうことも珍しくありません。
2つ目はゴールデンウィークです。5月の頭には長期休みがあり、生活のリズムが乱れてしまったり、会社に行きたくないというメンタルの変化を生じさせます。
これらのタイミングに加え、気圧の低下が重なり、メンタルが落ち込みやすくなってしまうのです。
低気圧に負けないために行いたい3つのコト

低気圧になることで雨が降りますが、メンタルが落ち込みやすい梅雨の季節には雨の日が増えます。
気圧の低下によってメンタルが落ち込んでしまっても、次のような行動をしてみることで、気持ちを高められるかもしれません。
1.日光を浴びる
上述した通り、気圧の低下が自律神経の乱れを引き起こし、うつ病に繋がりますので、自律神経を整えることができればメンタルを回復できると考えられます。
自律神経を整えるためには、日光浴が有効だとされています。
精神的なバランスを保つ「セロトニン」というホルモンは、目から光を取り入れることで活性化されます。
セロトニンが活性化することで、体内のリズムがリセットされ、憂うつな状態から解放される可能性があります。
少しでも天気が良い日には、部屋のカーテンを開け、日光を取り込むようにして下さい。
2.気分転換になる趣味に打ち込む
メンタルが落ち込んでしまうと、自分の悪いところであったり、嫌だと思うことばかり気にかかってしまい、中々明るい気分になれません。
気分転換をして心を健康に保つためにも、夢中になれる趣味を見つけて打ち込むことをおすすめします。
趣味の種類としては、運動などのアウトドアなものだけに限らず、インドアなものでも大丈夫です。
大切なのは、他のことを忘れて取り組める趣味かどうかということです。
趣味に熱中することで、陰鬱な気分を明るくするだけでなく、日常にメリハリが付くため、メンタルの不調を改善することができるでしょう。
3.ストレッチでリフレッシュする
大学の研究によると、ストレッチには緊張やストレスから人を解放させ、精神疾患の緩和や改善に適するとされています。
朝起きてカーテンを開け、日光を浴びながらストレッチをしたり、夜お風呂に入った後にテレビを見ながらストレッチをするなど、ストレッチを習慣化させることでメンタルケアに繋がります。
特に就寝前のストレッチには、睡眠の質を高め、ストレス軽減をもたらすという研究結果も出ています。
メンタルが落ち込んだら天気のせいにしてしまおう
メンタルが落ち込んでしまうのは、日常のストレスももちろんですが、気圧の変化による影響も少なくありません。
つらいことがあっても「天気が悪いせいだ」と考えることで、気持ちを軽くできるかもしれません。
低気圧によるメンタル不調は、簡単な習慣化で改善が見込めますので、今回の記事で解説した3点に取り組んでみてはいかがでしょうか。
Image:Unsplash
Source:
小口江美子,岡崎雅子
「運動のメンタルヘルス効果の検討(その2)ー精神疾患患者の心身へのヨーガの影響についてー」永松俊哉,甲斐裕子
「低強度のストレッチ運動が軽度睡眠障害者の睡眠およびストレス反応に及ぼす影響」佐藤純,溝口博之,深谷佳乃子
「天候変化と気分障害」福岡義隆

AUTHOR
SELF
北里大学医療衛生学部出身の医療系ライターを筆頭に、精神衛生やメンタルケアに特化した記事を得意とする。学術論文に基づいた記事を多く手がけている。