スーパースター達も実践?スポーツから見るマインドフルネスの可能性

運動する女性たち

「バスケットの神様」とも言われた元NBA選手のマイケル・ジョーダン氏は現役時代、スポーツ心理学者から「マインドフルネス瞑想」の指導を受けていたと言われています。

またテニス界でも、 ジョコビッチ選手がマインドフルネスとヨガを取り入れていることを明かしています。

「今この瞬間を大切に生きる」というような意味で使われているマインドフルネス。

ストレスからの解放を目的に、医療や福祉の現場で多く使われるようになっていますが、アスリートをはじめ、今や自身を高めるためにマインドフルネスを活用する人が増えているそうです。

研ぎ澄まされた超集中状態「ゾーン」とは

自転車競技中の選手たち

時折、スポーツ選手たちが「ゾーンに入った」と言ったりしているのを聞いたことはありませんか?

一般的に、ゾーンとは感覚が研ぎ澄まされ、雑念や思考、周囲の音などが気にならなくなるほどの超集中状態を言います。

ゾーンに入ると、人やボールの動きがゆっくり見えたり、時間が止まっているかのような感覚を抱くこともあると言われています。そのような特殊な状態に入ったとき、多くのスポーツ選手たちは自己ベストの記録を出したりスーパープレーを繰り出したりします。

スポーツに限らず、勉強や仕事、趣味の時間などでもゾーンに入ることがあります。

集中力が極限まで高まり、ベストパフォーマンスを引き出してくれる「ゾーン」の状態。そんな理想的な状態になれるなんて、何だかうらやましいと思いませんか?

実は、トレーニング次第で誰でもゾーンに入ることができるのです。

ゾーンに入るためにはどうすればいい?

サッカーする女性選手

ゾーンに入るためには、まず「フロー」という集中力の高まった状態になる必要があるそうです。フローとは「流れに乗っている」というような意味で、フローの向こう側にある一時的な超集中状態がゾーンと呼ばれるものです。

フローに入るためには、主に7つのポイントがあるそうです。

1、夢や目標を持つ(ワクワクしてプラスのエネルギーを高める)
2、好きな気持ちを大事にする(楽しめることや興味のあることに触れて集中力を高める)
3、準備をする(集中できる環境を整え、気が散る要素をなくす)
4、イメージする(準備中、作業中、終わった後の達成感までを細かくイメージ)
5、今を意識する(過去の失敗や未来の不安等は考えない)
6、自分を信じる(たとえ根拠がなくても、自信をもって行動する)
7、時間を決めて追い込む(短時間にあえて多くのタスクを課し、やりきる)

これらを意識し、なるべくフロー状態を保つことでゾーンへ突入しやすくさせるのです。

その際に効果を発揮するのがマインドフルネスです。
マインドフルネスによって自我をコントロールし、ネガティブな要素を排除することが重要です。そしてポジティブさをまとうことで自身を発奮させ、思考を変えていくことがゾーンに入るためのカギとなるのです。

一生懸命やっても結果が出ない…そんなふうに抱えてしまう人は要注意

また、スポーツ競技者で多いのが、自身の限界を求める過程で心身のバランスを崩すケースです。

目標に向かって頑張っている中で、精神的・身体的に限界を迎えているにもかかわらずパフォーマンスを続け、結果が伴わないことでやる気や情熱が失われてしまうのです。 いわゆるバーンアウト(=燃え尽き症候群)に近いかもしれません。
(※参照:【うつ病とはどう違う?バーンアウトの症状と対処法】

学術的には、このような状態になりやすい人を「アレキシサイミア傾向」と言い、自分の感情や身体感覚に異常が起きたときにそれを自身で認識・相談できない人がそれに当たります。

アレキシサイミア傾向になりやすい人の特徴として

・緊張しやすい
・不安を感じやすい
・几帳面で完璧を求める傾向にある
・八方美人
・責任感が強く、まじめ
・神経質
・ストレス対処法を身に付けていない

これらの点に心当たりのある人は、自身と向き合い自分を客観視するようなケアが大事になってきます。

ここでもマインドフルネスが役立ちます。自分自身と向き合い感情を受け入れていくというような考え方のマインドフルネス瞑想は、自身を客観視しにくい傾向にある人にとっては最良の対処法と言えるでしょう。

マインドフルネス瞑想と有酸素運動は、うつ病の改善につながる

サイクリングする女性たち

また、マインドフルネス瞑想と有酸素運動を合わせて行うことで、 脳内の海馬の神経発生を増加させ、うつ病の改善にも効果があることが研究によりわかっています。

今まではうつ病の治療といえば向精神薬が主流でしたが、マインドフルネス瞑想と有酸素運動なら深刻な副作用を伴わず、生涯にわたって実践することができます。

「ストレス社会」と言われて久しいですが、世の中からストレスが綺麗さっぱりなくなるということはまずないでしょう。環境や状況により、うつや精神障害になるリスクは誰にでもあり得ます。そうならないためにも、日頃から自身をケアしていくことが大事です。

マインドフルネスは、心身の健康を保つ上で様々な可能性を秘めています。

スポーツや勉強、仕事、趣味の時間など、マインドフルネスを活用して充実した時間を過ごすことができれば、きっと明るい未来が待っているのではないでしょうか。


Image:Unsplash
Source:
【スポーツ競技者のアレキシサイミア傾向とバーンアウトに対する抑制因としてのマインドフルネスの役割】
スポーツ心理学研究 advpub_2015-1416 早期公開原著論文(Original Article) J-STAGE Advance Published Date:November 30,2015
雨宮怜、坂入洋右

【ORIGINAL ARTICLE MAP training: combining meditation and aerobic exercise reduces depression and rumination while enhancing synchronized brain activity
Citation: Transl Psychiatry (2016) 6, e726; doi:10.1038/tp.2015.225
BL Alderman,RL Olson,CJ Brush and TJ Shors