スタイリングで、もっと自分を好きになる!?

服を選ぶ人

普段、どうやって洋服を選んでいますか?

着る服やクローゼットの中を見ることで、自分がどのような人なのかが分かるかもしれません。ミニマリストで必要最低限の服だけを持っている人、スティーブ・ジョブスのように、服を選ぶ時間と労力を省くために同じ服を何枚も持っている人、最新のトレンドを取り入れるファッション大好きな人、カラフルで派手な洋服で自分を表現する人や洋服には全く興味のない人など色々なタイプがいますよね。

ファッションはあまり重要ではないと感じている方も、一度立ち止まって、もう一度クローゼットの中にある洋服を見返してみましょう。なりたい自分になれるヒントがきっとあるはずです。

毎朝、起きたら何かしら洋服に着替えますよね。

私たちは行く場所や会う人に合わせて着る服を選んでいます。ブランドや素材などで自分のステータスを表現するのは簡単ですが、実はファッションはもっと奥が深いのです。

着る服によって、心理的行動や気分まで変えることができます。

ファッションがもつ、自分を変える力

Dress for the job you want, not the job you have. “
やっている仕事に合わせて服を選ぶのではなく、やりたい仕事のために服を着るべき。

これはアメリカのことわざなのですが、実際に服装がもたらす効果について様々な研究で科学的に根拠が示されています。アダム・D・ガリンスキー博士によって「着衣の認知」と呼ばれ、着られている服やそのイメージによって、着ている人自身の行動や思考も変化するとされています。

博士の実験では、参加者に「白衣」を着用させると、そうでない時に比べて集中力が高まり、課題を注意深く行うという結果が得られました。
「白衣」には、医者、賢さ、頭の良さなどのシンボル的意味合いがあり、身にまとうことで無意識に行動に影響を及ぼしたと考えられています。さらに、見ているだけではなく、実際に着用することで影響がさらに強くなるという結果も出たのです。

このような内容をふまえた上で、みんなに見てもらうためだけではなく、自分のために洋服を選んでみましょう。仕事にはカッチリとしたスーツ、友達と会う時にはカジュアルな服装、そしてジムには動きやすい格好など、まずはTPOに合わせて選ぶのもいいですね。

さらに、どんな自分になりたいのかを想像して、クローゼットの中の洋服を理想の自分に近づけてみましょう。

今の気分は、何色?

ファッションのみならず、「色」というのは私たちの心と深い関係があります。

「色彩心理学」という言葉をご存知でしょうか。

色彩心理学では、色が人の心に与える影響、それぞれの色の意味、表す感情や行動への影響力について研究されていて、マーケティングや芸術、デザインを始め、あらゆる分野で活用されています。

色のイメージで分かりやすいのは、白と黒です。
「白黒つける」、「潔白」、「黒い噂」という言葉の通り、一般的に白は「善」、黒は「悪」の象徴として用いられます。絵画やアニメでも天使や悪魔、善悪を表現する時に白と黒で区別することが多く、私たちも何となく黒い服を見ると悪役であると認識すると思います。

色が違うだけで、人の気持ちや行動が変わるということが分かってきている中で、「赤」は、研究者の中でも特に注目されている色です。
2004年のオリンピックで勝利チームが青色よりも赤色のユニフォームを付けていることに着目した研究者たちが、28人のアスリートを赤チームと青チームに分けてそれぞれの色のジャージを着て試合をするという実験を行いました。その結果、両チームの勝率は大差なかったものの、赤チームの被験者の方が試合前の心拍数がはるかに高く、全体的な身体能力も高くなったという結果が出ました。

このように、私たちは無意識のうちに相手や自分の色に影響されているようです。

色の捉え方というのは、国や文化によって違いますが、世界共通の認識があるものもあります。
例えば、「暖色」と言われる赤、オレンジ、黄色などは暖かさという印象から怒りや情熱などの感情を表します。そして、「寒色」の緑、青、紫は寒く、悲しいという気持ちから静けさや穏やかさなどに関連付けられます。

明るい色は、気持ちを盛り上げたい時にぴったりです。このように、色が持つ効果について調べてみて、その時の自分に合った色をぜひ選んでみてください。

自分らしさを大切に

自分の周りや世間の流行に合わせて服を選ぶことは当然あると思います。
でも、実際に着てみて違和感があったり、落ち着かなかったりすると、結局「いつもの」服装に戻ってしまうこともよくありますよね。服装に特にこだわりのない人には、あるあるだと思います。

そこで、あえて冒険して自分の個性を出してみるのはどうでしょう。

ハーバード大学の研究者たちは、一般常識からズレたスタイリングをすることの影響を調査するために、講義中に教授が真っ赤なコンバースのスニーカーを着用して目立たせました。すると、学生から見た教授の印象が変わり、赤いスニーカー着用前と比べると教授のステータスと能力の評価が向上したという結果が出ました。 
周囲から意図的にスタイリングしていると認識されると、独特なファッションがポジティブに捉えられることが分かったそうです。

この現象は「赤いスニーカー効果」と呼ばれていて、実際に高い地位にある個人または成功した起業家が、ビジネスの現場であえてジーンズやラフな格好をしていることはよくあります。
社会的ステータスが高い人ほど、個性的なスタイリングをする傾向が強くあるように見えますが、裏を返せば、地位が高い人ほど独特なスタイルをしても、ステータスを失なうようなリスクが少なくて済むだけの権力をがあると考えられるようです。
常識から少し外れたファッションは意図的に作られたインパクトだと世間は解釈し、その独特な感性を肯定的に捉えるそうです。

シンプルでも目立つネクタイ、靴、靴下やワンポイントで大きめのアクセサリーなど、ちょっとしたアイテムを一つ足すだけで、簡単にやってみることができます。独特なスタイルでオリジナリティを出すことで、自分を自由に表現できる上に、周りの人からポジティブな印象を持ってもらえることもできるのです。

ファッションに興味がなかった人も、ぜひこれを機会に試してみましょう!

Image:Unsplash
Source:

Adam, H., & Galinsky, A. D. (2012). Enclothed cognition. Journal of Experimental Social Psychology, 48(4), 918–925.

Bellezza, S., Gino, F., & Keinan, A. (2014). The Red Sneakers Effect: Inferring Status and Competence from Signals of Nonconformity. Journal of Consumer Research, 41(1), 35–54.

de Craen, A. J. M., Roos, P. J., de Vries, A. L., & Kleijnen, J. (1996). Effect of colour of drugs: systematic review of perceived effect of drugs and of their effectiveness. BMJ, 313(7072), 1624–1626.

Dittrich, A. (2019, September 24). Fashion’s impact on mental wellbeing. Retrieved June 16, 2020, from

Dreiskaemper, D., Strauss, B., Hagemann, N., & Büsch, D. (2013). Influence of Red Jersey Color on Physical Parameters in Combat Sports. Journal of Sport and Exercise Psychology, 35(1), 44–49.

Elliot, A. J., & Maier, M. A. (2014). Color Psychology: Effects of Perceiving Color on Psychological Functioning in Humans. Annual Review of Psychology, 65(1), 95–120.

Hutson, M., & Rodriguez, T. (2016, January 1). Dress for Success: How Clothes Influence Our Performance. Retrieved June 16, 2020, from

Karl, K. A., Hall, L. M., & Peluchette, J. V. (2013). City Employee Perceptions of the Impact of Dress and Appearance. Public Personnel Management, 42(3), 452–470.

Kraus, M. W., & Mendes, W. B. (2014). Sartorial symbols of social class elicit class-consistent behavioral and physiological responses: A dyadic approach. Journal of Experimental Psychology: General, 143(6), 2330–2340.

López-Pérez, B., Ambrona, T., Wilson, E. L., & Khalil, M. (2016). The Effect of Enclothed Cognition on Empathic Responses and Helping Behavior. Social Psychology, 47(4), 223–231.

Sarda-Joshi, G. (2016, June 17). 7 ways your clothes change the way you think. Retrieved June 16, 2020, from

Slepian, M. L., Ferber, S. N., Gold, J. M., & Rutchick, A. M. (2015). The Cognitive Consequences of Formal Clothing. Social Psychological and Personality Science, 6(6), 661–668.

Thrive Global, & Carlos, V. (2019, May 30). Why So Many Successful People Wear the Same Outfit Every Day. Retrieved June 16, 2020, from

上林 憲司, 田戸岡 好香, 石井 国雄, 村田 光二
「白色または黒色の着衣が道徳性の自己認知に及ぼす影響」(2016 年 55 巻 2 号 p. 130-138
 

フェイバー・ビレン(2009)
「ビレン色彩心 理学と色彩療法 青娥書房 」
 

山脇惠子(2010)
「色彩心理のすべてがわかる本 ナツメ社」