感情ラベリング

あなたも今すぐメンタルケア!「感情ラベリング」とは

あなたも今すぐメンタルケア!「感情ラベリング」とは

さて、あなたはネガティブな感情が沸き上がってきた際、どのような対処をしていますか?

・考えないようにする
・愚痴や文句を言う
・別のことをして気を紛らわせる
・寝る

他にもいろいろなアクションがあるかと思いますが、実は効果的な対処法として、ネガティブな感情を客観視して「一つ一つの感情と向き合っていく」というものがあります。

「感情ラベリング」とは?

ネガティブな感情の効果的な対処法として「感情ラベリング」という方法があります。
「感情ラベリング」とは、一つ一つの内なる感情を把握し、識別していく作業のことです。

ハーバード大学の博士エリック・ヌック氏は、自分の感情を詳細に理解することができる人もいる一方で、この感情は「よくないもの」といったように大まかに識別し、それ以上考えない人もいると述べています。

ヌック氏によると、子供は感情ラベリングが得意だとしています。これは、子供の感情が素直で単純であり、その単純さゆえにシンプルな感情の識別が可能だからです。しかし、思春期になるにつれて感情ラベリングがうまくできなくなる傾向にあります。これは、成長に合わせて発達する社会性や脳が関係しており、さらには複雑な感情と向き合う場面が多くなるためだと考えられています。

とはいえ、大人になるにつれて様々な感情に対処するケースが多くなり、感情ラベリングのスキルは自然と上がっていきます。また、感情ラベリングのスキルは心の知能指数(EQ) を育む上で必要不可欠な能力だとも言われているのです。

感情ラベリングは重要な心の処理能力

「感情ラベリング」が大切な理由

理解できないものは直せない

大人になっても感情ラベリングのスキルは人によって様々です。

2012年にアメリカのミシガン大学で行われた実験では、被験者に「湧き上がる感情を識別してノートに書き留める」という行為を1週間続けてもらった結果、抑うつ傾向にある人とメンタルが健康な人とでは感情ラベリングのスキルに大きな違いがあったそうです。

  • 「ストレスに弱い人」は自分の感情を漠然としかとらえる事ができず、ネガティブな感情ラベリングが不得意だった。
  • 「ストレスに強い人」は自分のネガティブな感情なラベリングをする事が得意だった。

これらの実験結果により、メンタルが健康な人は「不安」や「悲しみ」などの項目において自身の感情を上手に識別できていたと言えます。逆に、メンタルの弱い人は、細分化できる感情を全て一つの大きなグループにまとめて「ネガティブ」と識別するに留まっていたのです。

ネガティブな感情の根底を理解できない限りは、ネガティブな感情から抜け出すことが難しくなるおそれがあります。

感情と上手に向き合えるようになる

2015年のジョージ・メイソン大学とノースウェスタン大学の共同研究によると、感情ラベリングは「強烈なストレスへの耐久性」との関係があると述べています。

  • 感情ラベリングのスキルが低い人は、不健康なストレスの対処法(飲酒、怒り、自傷行為など)をする可能性が50%高い。
  • 感情ラベリングのスキルが高い人は、自然とネガティブな感情をつかさどる脳内部分の神経活動を下げる事ができた。その結果、不安や鬱の症状などの体感が軽く済んだ。

この結果から考察できるのは、ネガティブな感情の受け止め方は個々の「感情ラベリング」のスキルによって大幅に違うということです。感情ラベリングのスキルはストレスを軽減し、健康なメンタルを保つ上で重要な心の処理能力なのです。

感情ラベリングができるか、できないかで幸福度は大きく違う。

「感情ラベリング」のやり方

ネガティブな感情の把握

上記のように、ネガティブな感情を単純な「悪」として端的にグループ分けしてしまうのはオススメしません。漠然としたネガティブな感情をただ無理やり抱え込むのでは解決にならないでしょう。そこで提案したいのが、「ネガティブな感情の詳細をきちんと把握する」というプロセスです。

「今、この感じている感情は怒りかな?」
「だとしたら、この怒りの根底はどこにあるのだろう?」

こういった質問を繰り返して自問自答する事で、感情を把握していくことができます。同時に、質問の答え探しに気がとらわれているうちに、ネガティブ感情により受けるダメージを軽減することもできます。

ネガティブ感情のリスト

感情の把握やラベリングをするといっても、最初のうちは心がどう感じているのかをすぐに理解するのは難しいかもしれません。そんなときは、ネガティブ感情のリストを作ってみましょう。ネガティブな感情が込み上がってきた時に便利なツールです。

カリフォルニア州立大学の教授で心理学者のトム・グリーン博士によると、私たちのネガティブな感情は大きく3つに分けられるそうです。「不安」「怒り」そして「抑うつ」です。

不安

  • ストレス
  • 緊張感
  • 恐怖
  • 罪悪感
  • 不十分さ
  • 羞恥心
  • 孤独感
  • 胸騒ぎ

怒り

  • 恐怖
  • ムシャクシャ
  • 憤り
  • 嫌悪感
  • 苛立ち
  • 嫉妬
  • 嫌気

抑うつ

  • 不幸感
  • 悲しみ
  • 絶望
  • 無力感
  • 無関心
  • 疲労感
  • 希望の喪失

もちろん、これら以外にもネガティブな感情はたくさん存在します。また、感情グループが重なり合って「形容しがたい複雑な感情」となることもあるでしょう。

まずは上記を参考に、自分に最も適したグループや細かな感情をリストアップしてみましょう。それを紙に書き出して常に持ち運ぶのです。そして、ストレスを感じたらそのリストを確認し、自分が今どう感じているのか根底を探り、感情ラベリングをします。自身の感情を把握し、理解していくことは、ネガティブな感情と上手に向き合ってセルフケアしていく上でも重要な一歩となるのです。

ネガティブな感情を識別しよう!

メンタルヘルスを維持・改善するには、まず自分がどう感じているのかを理解することが重要です。ネガティブな感情の根底を追求することは決して簡単なことではありません。むしろ、ネガティブな感情と向き合うことで不快な気持ちになることもあるでしょう。しかし、ストレスへの耐久性を強め心の知能指数(EQ) を育む上では必要不可欠なプロセスなのです。

今後もしネガティブな感情を感じたら、「よくない」という漠然とした認識で片付けないことが大切です。ネガティブ感情リストを作成して感情を識別し、感情に見合った対処法を探っていくことが健全な暮らしを保つ秘訣なのです。

Image: Unsplash
Source:

Demiralp, E., Thompson, R. J., Mata, J., Jaeggi, S. M., Buschkuehl, M., Barrett, L. F., Ellsworth, P. C., Demiralp, M., Hernandez-Garcia, L., Deldin, P. J., Gotlib, I. H., & Jonides, J. (2012). Feeling Blue or Turquoise? Emotional Differentiation in Major Depressive Disorder. Psychological Science23(11), 1410–1416. https://doi.org/10.1177/0956797612444903


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